感想戦用語の基礎

将棋マガジン1985年2月号、「感想戦おもしろ用語」より。

 対局が終われば感想戦が始まる。その方法、様子も各棋士さまざま。十人十色である。感想戦の中でよく出てくる言葉を紹介してみよう。

①もう、投げようかと思った

A棋士 ここじゃあ、こちらの方がいいでしょう。あまりうまくいったんでね。

B棋士 うん、悪いね。全然だめだよ。もう投げようかと思ったんだけどね。

 しかし、結果はB棋士の逆転勝ち。

A棋士 いやあ、そこまででもないけど、と言葉では言いつつも、心の中で、”投げようと思ったんなら早く投げればいいじゃないか”と秘かに思っているのだ。相手を口惜しがらせる言葉ですね。

②変な手だけど……

 もう一つ、よく使われる言葉に”変な手”というのがあります。これは、筋にない手、とか、形が悪い、といったような意味。

「変な手なんだけど、意外に粘れると思ってね」とか「これで攻めきれると思った。変な手なんだけど」のように使われています。

 しかし、粘りの効く手とか、攻めきれる自信のある手に変とは、それこそ変?

 半分はテレ隠しの意味があるようです。

③一局の将棋

 終盤ならともかく、序盤や中盤戦では研究しても結論の出ない変化、局面があります。このようなときに「これは一局の将棋だね」とか「この変化は一局だよ」、というふうに言います。

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「もう、投げようかと思った」には「もうやめて帰ろうかなと思った」という同義語もある。

どちらにしても、負けた方にとっては悔しさが倍増する言葉には違いない。

事例→仏の感想戦・鬼の感想戦

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「変な手だけど……」は、普通ではない(あまり他の人が考えつきそうにない)手ということで、むしろ自慢の一手であることが多いのだろう。

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「この変化は一局の将棋ですね」はかなり便利な言葉だ。

私の場合、「えっ、こんな手があるんですね。いやいやいや。参ったなあ。これも一局ですね」と感想戦を早く終わらせたい時に使う言葉だ。

だから強くなれないのだが。