将棋世界1988年8月号、「第47期順位戦」より。
C級1組。初戦はまず、昇級候補にあげられている者たちが順調に白星発進。これを神谷、泉、村山が追いかけるという開幕前からの予想通りの展開となったが、この順当なスタートの中にもドラマはあった。
村山-所司戦は、なんと、午前1時を過ぎて209手にて持将棋が成立。あらためて指し直し局が行われたのが、午前1時48分、この将棋の決着がついたのはもう東の空が白々と明けた午前5時50分だった。6月15日午前10時の対局開始時から、実に19時間50分にわたる死闘である。この対局は、関西将棋会館で行われたのだが、後日、このあらましを知った関東の面々は、皆、一様に驚いた。
村山は将棋の才能は超のつく大物だが、惜しむらくは体力的な面に不安があり、そこが彼の大弱点という説がまかり通っていた。ところが、大夜戦の持将棋指し直し局を勝つとは……「なんだ、体力ないなんてウソなんじゃない」とは、次局以降に当たっている棋士の嘆声だ。
将棋が長くなればなるほど強くなるというタイプの所司を破ったことで、村山が体力に自信を持ったら、まさに鬼に金棒ということになる。前期で見せた後方から一気のまくりが、またあるかもしれないと思わせるに十分な村山の戦いぶりだった。
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一時的に体力が充実していたとしても、体調が決して安定しているわけではなかった村山聖五段(当時)。
魂で深夜の将棋を指し続けていたと言ってもよいのだろう。
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「初戦はまず、昇級候補にあげられている者たちが順調に白星発進。これを神谷、泉、村山が追いかけるという開幕前からの予想通りの展開となった」
羽生善治五段(当時)は昇級候補にあげられていたので、ここには名前が出てこない。
ちなみに、羽生五段、泉正樹五段、村山五段がC級1組1年目。
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この期のC級1組は、
浦野真彦五段(2位)8勝2敗と西川慶二五段(6位)8勝2敗が昇級。
羽生善治五段(19位)8勝2敗と泉正樹五段(20位)8勝2敗が頭ハネ。
村山聖五段(21位)は7勝3敗だった。