谷川浩司竜王(当時)がビリッと破り捨てる仕草をしたもの

将棋世界1991年10月号、神吉宏充五段(当時)の「対局室25時 大阪」より。

 8月2日、金曜日。久しぶりに谷川竜王の顔を見る。この日は村山と全日プロの対局。

「最近はなんや対局がようさんあって忙しいとちゃいますか」

「……はあ。去年はタイトルを獲りにいって勢いがあったのであまり苦にならなかったですけど、これから夏場のハードスケジュールを考えるとやっぱり辛いっス」

 そう答えながら、事務所に貼ってある王位戦の記事「中田(宏)連勝」をビリッと破り捨てる仕草をする。不本意な立ち上がりの防衛戦に自分自身、かなり頭にきているのだろうか。しかし、今日の表情は結構明るそう。

(以下略)

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将棋世界同じ号より、1991年王位戦第3局終了直後の谷川浩司竜王(当時)。撮影は弦巻勝さん。
将棋世界同じ号より、終局→打ち上げ終了後の娯楽室。撮影は弦巻勝さん。

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この期の王位戦七番勝負は、挑戦者の中田宏樹五段の2連勝で始まった。

王位戦の記事「中田(宏)連勝」をビリッと破り捨てる仕草をした谷川浩司竜王(当時)。

神吉宏充五段(当時)が「不本意な立ち上がりの防衛戦に自分自身、かなり頭にきているのだろうか」と書いているということは、あまり冗談っぽくはなかったということなのだろう。

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谷川竜王のこの日の対局(対 村山聖五段戦)は、終盤の大激戦を制して谷川竜王の勝ち。

記事を破る仕草も含め、気合いが充実していたのだろう。

谷川竜王は、この後、4連勝して王位を防衛することになる。