将棋マガジン1988年10月号、コマゴマ掲示板(読者の投稿)より。
▲谷川名人には、恋人がいるのでしょうか。もしいないのであれば、小生の会社のOLを紹介したいのですが・・・。ちなみに、OLに名人の写真を見せたら「ステキ!」と言っておりました。
この夢が実現すると、小生は”谷川夫人”のツテで、名人とお茶を飲むことができるのだが・・・。 ※OLの名は直子です。
(東京都板橋区 夢みる男 39歳 会社員 三段)
△冒頭の質問に対し、名人に代わってO崎がお答えします。
”いません!”(キッパリ)
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何とも遠大な計画というか、押し出しが強いというか、見事なプロモーションだ。
惜しむらくは、「気立てが良く、健康な」、あるいはこの当時の時節柄「中山美穂に似た雰囲気の」などのような形容詞が付いていれば、もっとインパクトが強かったと思う。
更には、編集部宛の本人直筆の身上書と写真があれば、もっと良かったかもしれない。
ちなみに編集部の”O崎”さんは、大崎善生さん。
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あれは社会人になって3年目頃だったと思う。
直属の部長が私を呼ぶ。
「はいっ」
「仕事とは関係ない話なんだけどさ、今、誰か決まった人はいるかな?」
「い、いえ、いませんが」
「それなら良かった。僕の知り合いから、誰かいい人がいないかって頼まれてさ」
写真を一枚手渡された。
晴れた日の海辺を背景に撮られた若い女性の写真。
アイドル系で優しい顔立ち、超絶妙な雰囲気だった。
「○○○○のシンガポール支店長のお嬢さんなんだよ」
「えっ、こ、こんなに、、こんなに素晴らしい、、、」
「おっ、気に入ってくれたか。うまくいくかどうかは本人同士の問題になるけど、先方に伝えておくよ」
「私の写真と身上書を至急お渡しするようにします」
「それはなくても大丈夫だよ。まあ付き合ってみればいいんだ」
その後、個人的にはかなり夢に満ち溢れた日が続いた。
1ヵ月後。
部長に喫茶店に誘われる。
「あの件だけどさ、先方のお嬢さんがまだ結婚は早いと思っているらしくて。申し訳ないけど今回は見送りだ」
「・・・そうなんですか。了解しました。ありがとうございました」
ややがっかりはしたが、こちらから写真や身上書も送っているわけでもないので、特にショックはなかった。
・・・とはいえ、その日から毎晩遅くまで飲み歩く日が結構続いたと思う。