木村義雄十四世名人の贅沢

将棋世界1996年2月号、河口俊彦六段(当時)の「新・対局日誌」より。

 うろうろきょろきょろしているうちに昼休みになった。前回の対局で味をしめ、ホテルの理容室に行ってさっぱりすることにした。なんだか木村名人の真似をしているようで、ちょっと贅沢な気分になる。

 それはよかったが、考えていてふとあごに手をふれたら、髭がそってなかった。こんな経験はなく、おかしなことがあるものだ。そういえば、木村名人は理容師を雇い、毎朝髭をあたらせていたそうで、理由は剃刀を使えなかったから、というが、本当だろうか。贅沢をするための口実のようにも思うのだけど。

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河口俊彦六段が、大阪で対局があった日の話。(対久保利明五段戦)

この頃、ホテル阪神は関西将棋会館の近所にはなかった時代なので、どこのホテルに行ったのだろう。

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髭を剃ることは毎日の習慣となっているが、考えてみればこれほど面倒なこともない。

私が朝風呂派になった理由の一つが髭剃りだ。

風呂に入りながら、顔にシェービングクリームを塗り、剃刀で髭を剃る。

髭剃りも歯磨きも洗顔も洗髪もまとめてできるので、効率が良い。

とはいえ、やはり髭剃りだけでも5分近くはかかっていると思うので、面倒には違いない。

一生髭が生えてこなければいいのに、と思ったことは何度もある。

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社会人になって4年目までは電動シェーバーを使っていたが、剃り残しが気になったので、徹底的に剃ることができる剃刀派に転身した。

電動シェーバー派と剃刀派の比率は、ある調査によると、

電動派 49%

剃刀派 23%

併用派 29%

とのこと。

10代、20代は剃刀派が多く、30代以降は電動派が過半を占めているという。

私は若い。

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化粧をしても、素顔とあまり変わらない女性がいた。

逆に言うと、化粧をしなくてもものすごく綺麗な顔立ちだった。

「化粧をしても変わらないのに」

と言ったら、

「男の人だって髭を剃らないと気持ち悪いでしょ。女性の化粧はそれと同じ」

と返された。

なるほどと思った。

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河口俊彦七段が紹介している木村義雄十四世名人の逸話には次のようなものもある。

木村十四世名人の鰻重