今週の日曜と月曜に取り上げた将棋世界1991年1月号~3月号の執筆者不明の斬新かつ革命的な「公式棋戦の動き」。
その後に登場したのが、先崎学五段(当時)。
将棋世界1991年4月号、先崎学五段の「公式棋戦の動き」より。
某月某日、本誌の沼編集長より本欄を頼まれてくれないかといわれました。同業者が書くのも変ですが、順位戦に負けて気が狂っていたので引き受けてしまいました。ヨロシク。
(中略)
王位戦
先日、仲間うちで「棋士なんでもベスト5」を決めようという話になった。盤上盤外の様々なことに順位をつけたわけで、絶対にここには書けないような話も出たのだが、そのなかで”長考派”を決めて、
①加藤 ②郷田 ③安西 ④武市 ⑤佐藤康
ということになった。
3位以降については意見がわかれたのだが1位と2位は全員一致で「これしかない」ということになった。
その二人がここ王位戦で対決した。もちろん両者湯水のように時間を費う。おそらく、100時間あっても秒読みになっただろう。終盤秒読みでの難解な戦いを郷田が制し、前期棋聖戦での活躍がフロックでないことをしめした。
将棋の「格」では大駒二枚違う両者だが、実力の世界に格はない。長年の経験を若さが押し切ったということである。若さの勢いはおそろしい。(同年のオイラがいうのも変だけどね)
(中略)
勝ち抜き戦
屋敷が、宮田、前田という手厚いところ(将棋自体も)をテキパキ負かして勝ち抜いている。
屋敷の次の相手は、絶好調郷田(これは奨励会時代についたフレーズである。昔から連勝連敗タイプだったのだ)である。18歳と19歳。将棋会唯一の十代決戦ということになる。
(中略)
先崎学のちょっとイイ話
羽生善治前竜王の名前の読み方だが、ずいぶん最近までヨシハルと読むことは案外知られていなかった。むしろ奨励会員のころは、親しい仲間でもゼンジと読むのが正しいと思っていた者が多かったのである。そこでついたアダ名が「ハブゼン」結構ゴロがいいんです、これが。今では誰も呼びませんけどね。そこで羽生前竜王と呼ばれても彼はまだ竜王のままなんじゃないかと錯覚しそうで、友達としては心配なんです。なんたって「ハブゼン、リュウオー」とも聞こえますから―。
スキーに行こうという話が若手棋士のあいだで出た。宴会役に絶対必要なのが森下さんである。そこで一杯のんだおりに誘ってみた。
「森下さんスキーはやりませんか?よかったら一緒に行きませんか」
「いや先崎さんのお誘いは大変うれしいのですが、スキーは危険なんで・・・」
「危険じゃないっスヨ。森下さんの大好きなギャルも大勢きてますし」
「先崎さん!ギャルはもっと危険です!先崎さんも気をつけてください―」
???びっくりしたなあ、もう。
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先崎学五段は、将棋世界1991年4月号から7月号までの「公式棋戦の動き」を担当することになる。
”ハブゼン”、”絶好調郷田”、同世代(=羽生世代)の棋士の奨励会時代のアダ名が出てくるところが嬉しい。
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しかし、ハブゼンの語呂がいいのかどうかは微妙なところだ。
ハブ膳のように聞こえて、ハブの蒲焼、ハブの甘露煮、ハブの唐揚げなどの料理を想像してしまいそうだ。
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と、書いてから調べてみたら、ハブ料理はハンバーグに限られてしまうらしい。
骨が剥がれづらいのが大きな理由という。
自戦記→【台東区】上野の蛇屋「救命堂」で蛇料理を食おう!(2)
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「棋士なんでもベスト5」、今からでも遅くはないので、誰かにやってほしいものだ。