正解するのはほとんど難しい、大山康晴十五世名人出題の初段コース試験問題

将棋世界1979年2月号、「初段コース試験問題」より。

第3問 大山康晴十五世名人出題

大山次の一手1

振り飛車らしいサバキを。

 

(正解は少し下の方に書いています)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〔正解〕 ▲6七飛(25%)

 むずかしい局面のときには、あせらず、じっくり眺めてから打開策をたてるようにすることです。

 最善手の選び方は、まず攻めるための手筋、次に味方に遊び駒があるかないかと考えてみて、もし無駄駒があれば、それを活用できる手順が正解手になる場合が多いのです。

 さて局面は、▲5一とだけでは攻め切る手はなく、たとえば▲5二銀(3%)では、△5三金寄で後の攻めが続きません。

 また▲5六歩(14%)の攻めも手筋ですが△6六金▲7八飛△5六金となってむずかしくなります。

 最善手は▲6七飛―。

 この一手によって飛角が見違えるほど動けるようになります。次に▲2七飛~▲2四歩の攻めがねらえますし、▲5九角~▲2六角となれば、と金の協力もできるのです。相手方の△7八飛成は恐れることなく、▲7七飛の交換があります。

 問題図と▲6七飛の図を比べていただければ一手指した手がいかに好手であるか、ということがわかると思います。

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振り飛車党の方でも正解を出すのが難しい問題。

「振り飛車らしいサバキを」と言われても、昭和の振り飛車党の私もこの問題にはギブアップ。

▲6七飛に△6六金が気になるが、▲同角△同歩▲7七飛と飛車交換が確実になり、先手が優勢となるのだろう。

言われてみれば、味の良い手だ。

「最善手の選び方は、まず攻めるための手筋、次に味方に遊び駒があるかないかと考えてみて、もし無駄駒があれば、それを活用できる手順が正解手になる場合が多いのです」は、大山流の金言だと思う。

 

ついつい間違ってしまう、谷川浩司四段(当時)出題の初段コース試験問題

将棋世界1979年2月号、「初段コース試験問題」より。

第1問 谷川浩司四段出題

谷川次の一手1

一気の寄せをねらう一着。

 

(正解は少し下の方に書いています)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〔正解〕 ▲4一飛成(32%)

 振飛車対居飛車の終盤戦です。振飛車側は一見固いようですが、△6七歩成を許すとうるさくなります。

 たとえば▲9一飛成(1%)のような手では、△5一銀とねばられてしまいますので、一気に寄せたいところです。

 まず目に映る▲2二角(5%)は、後手方に△1二飛と丁寧に受けられて続きません。また▲2三角(61%)も、△2三同玉▲4一飛成に△5一飛といううまい受けで切れてしまいます。

 この▲2三角以下の手順を逆に利用する▲4一飛成が正解です。

 △4一同玉の一手に、▲2三角△3二飛▲2二銀△3一飛打▲3二金△同飛▲2二飛となって、先手優勢がハッキリします。

 ▲2二飛以下、△3一金は▲3二角成△同金▲2一飛成。また△3一銀は▲2一飛成です。普通はこのような攻め方は成立しないものなのですが、この局面は”後手の持駒が飛と歩だけ”という特殊な状態ですので成立するわけです。

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▲2三角(61%)とあるように、多くの方は▲2三角を考えられたのではないだろうか。私も▲2三角。

先手の持駒に銀があったり、後手の持駒に飛車がなかったりすれば正解になるのだが、この場合は△5一飛と打たれて「ギャッ」となってしまう。

初段コースの1問目だからと思って気軽に考えてはいけないという好例。

16歳の頃の谷川浩司九段の、非常に清々しく新鮮な次の一手だ。