今年の5月29日に亡くなられた元・近代将棋編集長で将棋ペンクラブ幹事の中野隆義さん。
中野さんからこのブログのコメント欄に、数々の棋士のエピソードを書いていただいている。
今月は、中野さんを偲びつつ、棋士のエピソードを振り返ってみたい。
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芹沢流にはマージャンと碁でずいぶん可愛がってもらいました。
私めが大変に気に入っている「きたろう」という仇名は、芹沢流がつけてくれたものです。
「なんだ、お前、碁が打てるみたいだな。一局教えてやるぞ」
「は、はい。御願いします」
「好きなだけ置いていいぞ」
おずおずと六子置きましたところ。
「なんだ、この俺を相手にしてそんなもんでいいってのか。よーし、ひでー目に遭わせてやる」
「ゲゲーッ」
その後は石が多い黒の方が何故か攻められっぱなしで
「ゲゲーッ」「ゲゲーッ」を連発していましたところ
「なんだ、お前は。ゲゲゲゲ、ゲゲゲゲどうるさい奴だな。そういえばゲゲゲのきたろうってのがいたな。よし、お前は今日からきたろうだ」
私めはゲゲゲのきたろうの大ファンでしたので思わず
「は。ありがとうございます。では、喜んでこれよりゲゲゲのきたろうと名乗らせていただきます」と、満面の笑みでこたえますと
「ぶわっか。お前なんぞゲのゲのきたろうでたくさんだ」
「ゲゲーッ」
それにしてもたった一文字の違いでえらい違いです。
ゲのゲの きたろう
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中野さんは、髪型がゲゲゲの鬼太郎の髪型にやや似ていた。
それで、ハンドルネームは「きたろう」だったが、起源は「下の下の鬼太郎」だったのだ。
中野さんは棋士を○○流と呼んでいた。
だから、芹沢博文九段は芹沢流。
昇段しているのに気が付かずに古い段位で呼んでしまったりすると失礼になるということで、中野さんは○○流を通していた。
たしかに私も、棋士の段位を日本将棋連盟ホームページで何度も確認しながらこのブログを書いていることが多く、○○流の中野流は本当にすごい発明だと思っている。
(つづく)