奨励会員語録「俺が勝つまで!」

近代将棋1982年12月号、「関東奨励会」より。

 奨励会の秋の旅行会が10月20、21日の両日に行われた。春は日帰りのハイキング、秋は一泊の研修?旅行会が恒例となっている。そして隔年ごとの秋の旅行会は関東、関西奨励会合同の旅行会が行われる。今年はその合同の旅行会の年にあたっている。普段あまり交流のない関東、関西の奨励会が一同に集まるのは意義のあることである。

 豊橋のトヨタ自動車工業を一緒に見学し、旅館ではA・B・C級に分かれてのトーナメント戦が行われる。やはり対抗意識が働くのか、いつも熱の入った闘いが見られる。早く公式戦で顔を合わせられるようになることを期待したい。

 そのトーナメント戦には優勝賞金が出ることになっている。賞金を目指してみながんばるのであるが、トーナメント戦だけに1回負ければお終いである。みな勝負師の卵、負け組が集まって次は勝負勘を養うため?の勝負が展開されるのは恒例の行事となっている。

 今年は誰が死んで誰が笑うのであろうか。

 奨励会員語録―勝負勘を養う勝負をしている4人組、一人の形勢がよくない。形勢のよいA「ねえ、いつまでやるの」形勢の悪いB「俺が勝つまで!」これくらいの根性がないといけない。

(以下略)

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はじめは、トーナメント戦で敗れた奨励会員同士が勝負勘を養うために10秒将棋をやるのか、自分が勝ち越すまで将棋を指し続けるのか、と思っていたのだが、文字を打ち込んでいるうちに、「勝負勘を養う勝負」とは麻雀であると理解できた。

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棋士になろうとしたら、将棋以外の勝負事でも負けず嫌いであることが必要な資質ということになるのだろう。

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20世紀の頃、棋士の麻雀が24時間以上行われることが珍しくなかったわけだが、これも皆がそれぞれ「俺が勝つまで!」と思って麻雀をやっているから長くなったのだとも考えられる。