将棋世界1992年4月号、大野八一雄五段(当時)の「公式棋戦の動き」より。
全日本プロ
4図は羽生が△9七桂と打ったところ。この桂馬は成香にヒモをつけただけの一着。
この手だけを見れば、羽生苦戦と思ってしまうが形勢は羽生優勢というのだから驚く。
△9七桂の後、中川は▲4五歩としたが、この手が疑問で△8七歩以下攻め合い負けを喫した。
▲4五歩では、▲6四歩△同歩▲7二角として、桂取りと▲4五角成を含みに指せばまだまだこれからの将棋だった。
最近、中川は、そっと近づいて来ては人の腕と胸をさわる。
中川、やっとめざめたか、違うって。
この珍現象を説明すると、ウエートトレーニングをやっている者は、同じ様にやっている者の筋肉が気になって仕方がないのだ。
彼は、毎日、腕立て伏せと腹筋を欠かさないという。
何のためにやっているかって。彼はゴルフのパワーアップのためにといっているが、本当のところは夏の海にあるのではないかい。
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羽生善治棋王(当時)の△9七桂(4図)は、なかなか気がつかない一手。
形からしても非常に指しづらい手だが、△8七歩~△8八歩成のヤスリ攻めを目指すための、強い意志を持った好手だ。
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「最近、中川は、そっと近づいて来ては人の腕と胸をさわる」
中川大輔五段(当時)のウエートトレーニングは、奨励会の頃から続いていた。
奨励会時代は、腕立て伏せ連続60回と腹筋連続100回を日課としており、奨励会の対局で負けた日は、1敗につきそれぞれ20回をプラスしていたという。
一方、大野八一雄五段(当時)も、この分野では棋界有数の強者。
「この珍現象を説明すると、ウエートトレーニングをやっている者は、同じ様にやっている者の筋肉が気になって仕方がないのだ」
鍛えている棋士同士が集まると、この方面での研究会のようなことが始まることもあったようだ。
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中川大輔八段は、現在は登山研を主宰しており、この頃からの体の鍛えが活かされている。また、登山をしながら更に体が鍛え続けられているわけで、本当に凄いと思う。