中原新名人が誕生する年の将棋世界記事「名人戦をこう見る」

飛び飛びで、「中原誠十六世名人にとって最も印象に残るタイトル戦」である、1972年の名人戦の模様をブログで書いているが、当時は、将棋ファンの各界著名人や業界人による「名人戦をこう見る」という予想記事が10頁に渡って将棋世界に載った。

一人あたり400字くらいの投稿。

矢野健太郎(東京工業大学教授)「後世に残る対局を」

永井龍男(作家)「男子の本懐」

本因坊秀芳(囲碁棋士)「勝負とひいき」

井伏鱒二(作家)「隣人のよしみ」

高野明富(アマ名人)「中原名人誕生か?」

石川哲也(徳島新聞記者)「楽しみなヤグラの対決」

日色ともゑ(女優)「大山さんは強い人」

田辺忠幸(共同通信記者)「”なにか”がある」

斎藤栄(推理作家)「闘魂」

大橋巨泉(タレント)「心がおどる対局」

村松喬(評論家)「大山さんの経験」

柳家小さん(落語家)「武蔵と小次郎」

勝村実(日本経済新聞記者)「経験を重視」

久保明(学生名人)「名局の期待」

田辺一鶴(講談師)「マッテマシタァ」

木屋太二(赤旗・観戦記者)「ただわくわくと」

貴ノ花満(力士)「プリンスからキングに」

山口瞳(作家)「ついにその時がきた」

能智映(新聞三社連合)「沖縄決戦到来か」

土岐雄三(作家)「大山名人、真骨頂を期待する」

菊池史郎(河北新報学芸部長)「無心に期待」

藤沢桓夫(作家)「今度こそ面白い」

石垣純二(医事評論家)「大山城の内庭で激闘」

江国滋(随筆家)「感傷予想」

井口昭夫(毎日新聞記者)「苦戦、だが大山」

福田昭(山陽新聞記者)「盤を超えて教えられる」

岩掘長慶(東大教授)「ファン冥利」

尾島勝敏(NHK)「深く静かな激戦」

豊田穣(作家)「大山しのぎ切るか?」

山中龍雄(詰将棋チャンピオン)「棋力より気力の勝負」

平井輝章(読売新聞記者)「大難問」

倉島竹二郎「体力と心の在り方が問題」

今の時代版の、このような「名人戦をこう見る」という記事があっても面白いかもしれない。

ちなみに、はじめに出てくる矢野健太郎氏は、科学新興社の「解法のテクニック」という、昔懐かしい数学の大学受験参考書の著者でもある。