将棋世界2002年10月号、小林香南江さんの「真夏の渋谷で棋士と一緒!」より。
小林香南江さんは女流育成会の出身。
真夏の大イベント。今年もやってきました、東急将棋まつり。
一歩、会場に葦を踏み入れてみる。
「すごい熱気だ・・・」
まだ、10時45分からの開会式までずいぶん時間があるというのに、すでに会場は大賑わいだった。こちらまで、否が応でも気分が高揚してくる。
さっそく、一日目のプログラムをチェック!
出場棋士は森内俊之名人をはじめとした豪華メンバー。女流棋士による開幕戦を皮切りに計4局の席上対局の他、指導対局、森内名人・郷田九段によるサイン会、原宿将棋通りのメンバー(山田久美女流三段、中倉彰子女流初段)によるCDサイン会など。ファンの方が参加できる森内名人杯争奪戦や一般勝ち抜き戦も同時に開催される。
そうこうしているうちに、女流棋士による席上対局の用意が整ったようだ。そこへ解説の森内名人が登場。会場から、「わーっ」と感性が沸き起こる。
マイクを渡された森内名人だが、何だか落ち着かない様子。「私がこの将棋の解説をするわけですが、一人でというのも寂しいので誰か女性の方、聞き手をやっていただけませんか?」というのが森内名人の提案だったのだが・・・。森内ファンにとっては大チャンス! しかし、会場からは手が上らなかった。「同じことを関西で言ったら、たくさん手が上ったのですが、関東の方はシャイなんですね」と名人は苦笑い。関東の女性将棋ファンの方、来年は恥ずかしがらずに手を上げて下さいね!
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これはなかなか難しい問題で、手を上げない気持ちもすごくよくわかる。
例えば、私が大ファンである菊池桃子さんが何かの解説をやっていて、「一人でというのも寂しいので誰か男性の方、聞き手をやっていただけませんか?」と言ったとしても、私は手を上げないだろう。
とはいえ、森内名人の聞き手をできるというのも、一生のうち一度でもあれば凄いわけで、大きなチャンスが見逃されたという感じが強くする。
こういう場合は、将棋が好きであれば棋力に関係なく、乗る一手だと思う。