「山田さんは美人の女将のところばかり捜して十段戦をやっているんでしょう」

近代将棋1985年1月号、読売新聞の山田史生さんの第23期十段戦〔中原誠十段-米長邦雄三冠〕「中原、連勝(第2、3局」より。

 第3局は11月14、15日に山形県天童温泉の「滝の湯ホテル」で。

 米長は11日に高松での日本シリーズ決勝で谷川名人を破り優勝、気分を良くしての山形入り。中原も10日に早指し戦で淡路八段をきちんと破っての登場。さすがに三冠王と二冠王である。

 前日は地元天童市のきもいりで、市の首脳や観光協会、商工会、駒師ら約20人を加えた歓迎会が開かれた。日本一の駒の産地だけに、将棋には市民のだれもが関心が深く、歓迎も形式的ではなく、心がこもっていることがよくわかる。

(中略)

 なおこの「滝の湯ホテル」はタイトル戦が行われるのは今回が初めて。対局室にはテレビカメラがとりつけられ、指し手がホテルの各室でわかるようになっているのでとても便利だ。またここのおかみ(専務)山口隆子さんは、初代の”ミス花笠”。スマートな美人で県内では著名。米長は私に「山田さんは美人のおかみのところばかり捜して十段戦をやっているんでしょう」と冗談をいうが、これは偶然。

(以下略)

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竜王戦でおなじみの「ほほえみの宿 滝の湯」で初めてタイトル戦が行われた時の話。

滝の湯で対局が行われる部屋は、テレビでの対局の中継を行いやすいような様々な工夫(放送機材の配線が隠れるような仕組み、畳の配置など)が施されている。

滝の湯および女将の山口隆子さんについては、以下の記事に詳しい。

竜王戦第1局対局場「滝の湯」

また、山口隆子さんは2017年に黄綬褒章を受章している。

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ミス花笠は2018年度で第56回。山形花笠まつりが始まった1963年が第1回ということになる。

米長邦雄永世棋聖のことだから、「山田さんは美人のおかみのところばかり捜して十段戦をやっているんでしょう」は、女将の山口隆子さんがいる前で言った可能性が高いと思うし、その方が米長永世棋聖らしい。

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昨年の秋に、「滝の湯」へ行ってきた。

これは、大浴場前の大きな将棋盤と駒。

ついつい、卓球台も撮りたくなる。

ラウンジで飲んだラ・フランスジュース。当然おいしい。

ホテルを出る時にもらった駒形のおこし。

この日は天童市で将棋大会が行われており、このような看板も用意されていた。

何もそこまで思い込まなくても良いのに…凄い熱心な会があるものだと感心したのだが、要は大会関係者の打ち上げ会場ということだった。