「8五飛研」、「ハチ公研」、「カイジ研」, 「ハイネ研」、「ホープ研」、「愛知研」、「豪邸研」、「馬研」

将棋世界2004年3月号、「これが謎のVSだ!」より。

 「対局時計貸してください」「空いてる場所はあるかな?」 将棋会館内でこんな会話を聞くことがある。若手棋士がVS(実戦形式の研究会)を行う場所を捜しているときだ。

 研究会流行りのプロ将棋界。羽生、森内、佐藤といったトップ棋士も月に数回、研究会を行っているという。

 将棋会館でよく見かけるのが丸山棋王、深浦朝日選手権者のVS。空いている和室がなければ記者室、研修室と会館内を捜しまわる「流浪の研究会」となることも。この謎に包まれたVS、両者から取材許可が下りたので、その様子を紹介しよう。

 持ち時間40分、切れたら60秒の実戦形式。ペースは月に2、3回(仲のいいこの二人、連盟でしょっちゅう見かけます)。撮影は序盤の数分しか許されなかった。極秘研究があると思われる。

 撮影は昨年末。深浦七段は谷川王位との棋王戦挑決の直前で、丸山-深浦による棋王戦前哨戦さながらの真剣勝負。しかし、研究会で顔を合わせて公式戦でやりにくくないのか?この二人、将棋に没頭していて、そんなこと気にならないようである。

 数ある研究会、面白いネーミングとしては、「8五飛研」(文字通り8五飛戦法を研究する)、「ハチ公研」(渋谷のハチ公前で待ち合わせ)、「カイジ研」(ヤングマガジン連載漫画の愛読者、渡辺五段、飯島四段、村山四段らがメンバー)、「ハイネ研」(詩的だなあ…あっビールか)、「ホープ研」(千駄ヶ谷にあるラーメン屋、じゃない!)、「愛知研」(愛知出身の松尾五段がリーダー)、「豪邸研」(藤井九段邸で開催)、「馬研」(朝、みんなで馬券を買う)などなど。(現在ないものもあります)

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将棋世界2003年2月号付録「八十一格の青春」より、村山慈明三段(当時)。

 最近というか三段になって急に、研究会の数が増えました。中でも藤井九段宅でやっている「豪邸研(個人的にこう呼んでいる)」は自分より強い人ばかりなので(他に行方六段、中村亮介三段)とても勉強になります。

 強い先生方からたくさん学び、早く四段になれるよう頑張りたいです。

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藤井猛九段の 「豪邸研」の名付け親は村山慈明三段(当時)であったことがわかる。

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2000年の将棋世界で、深浦康市六段(当時)は丸山忠久八段(当時)について書いている。

深浦康市六段「丸山忠久という男」

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研究会の多くは、初めは名前は付いていなくて、やっていくうちに呼び名が収束・定着していくのかもしれない。

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個人的には「高倉研」や「志村研」があれば面白いと思うが、なかなかそうもいかないだろう。「アキレス研」は縁起が悪そうだ。

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私は大学生の時に「フランス研究会」という文化部に所属していた。「フラン研」と呼ばれていた。フランスなのにドイツ語っぽいというか怪奇系の呼び名になっていた。