将棋世界2005年3月号、「誕生!20歳の新竜王 渡辺明」より、山崎隆之六段(当時)の「精神的な強さを感じる」。
渡辺さんとは、住んでいる場所が離れていることもあってあまり話をする機会がありませんが、一、二度食事に行ったことはあります。
会う前は、かなりきついことをいう人だなあという印象を持っていましたが、実際に話してみると、裏表がなくて結構いい人だなと思いました(笑)。
テレビで渡辺さんのことを取り上げた番組を見ましたが、いいお父さんぶりもちょっとびっくりしました。
渡辺さんの勉強ぶりは以前から尊敬していましたし、周囲の評価も高かったので、今回の結果は驚いてはいません。シリーズが始まる前からタイトルを取ってもおかしくない雰囲気が凄いと思っていました。
この世界は勝ち負けがすべてなので、どうしても気持ちの浮き沈みがあるものです。ときには嫌になることがあるのですが、彼がこれまで自分の将棋をずっと続けてきたことは凄いと思いますし、尊敬できます。精神的な強さを感じます。これは渡辺さんに限ったことでなく、タイトルを取る先生はみんなそうだと思いますが。
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この連休中、4月30日は『オレたち将棋ん族エピソード2出版記念・32年!大感謝祭』、大阪へ行って5月3日は将棋ペンクラブ関西交流会、5月4日は森一門祝賀会、5月5日は森信雄七段にお誘いいただいて園田競馬と、今年はもうこれ以上楽しいことはないのではないか、と不安に感じるくらい充実した連休だった。
現地でお会いした多くの方々に感謝したい気持ちでいっぱいだ。
この期間の日記は別途書きたいと思う。
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森一門祝賀会でのプログラムに、お祝いの対象となった棋士(山崎隆之八段、糸谷哲郎八段、室谷由紀女流二段、山口絵美菜女流2級)への10の質問が載っている。
その中のひとつに「自分を飲み物にたとえたら?」という質問があり、
山崎隆之八段 マイナーな炭酸飲料
糸谷哲郎八段 セイロンティー
室谷由紀女流二段 辛口ジンジャエール
山口絵美菜女流2級 ミルクティー
という回答だった。質問もすごいが回答もすごい。
室谷由紀女流二段の辛口ジンジャエールと山口絵美菜女流2級のミルクティーは非常に的確でイメージ通りのような感じがするが、マイナーな炭酸飲料とセイロンティーは山崎隆之八段、糸谷哲郎八段それぞれの個性が爆発したような回答だ。
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糸谷哲郎八段のセイロンティー。
セイロンは現在のスリランカであり、紅茶の生産量としてはインド、ケニアに次ぐ世界3位の原産地だが茶葉輸出量は世界一。
セイロンティーは色、香り、味のバランスが良く、インド紅茶に比べるとマイルドな風味と言われている。
プログラムには、なぜセイロンティーなのかの解説は書かれていないので、その心は想像するしかないが、もしかするとかなり深遠な哲学的な意味が含まれているのかもしれない。
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山崎隆之八段のマイナーな炭酸飲料。
マイナーな炭酸飲料と聞いて私が思い浮かべるのは「セブンアップ」(レモンの風味がするアメリカの炭酸飲料)だ。
「セブンアップ」を初めて知ったのは、日本では1978年に公開された映画『サタデー・ナイト・フィーバー』でのこと。
それ以来、セブンアップの存在は知っていたが、自動販売機などではなかなか見かけることはなく、今までの人生で一度か二度しか飲んだことがないと思う。
調べてみると、日本以外ではメジャーな飲料で、日本でも飲んだことがある人の評価は非常に高いようだ。
山崎八段が生まれる前なら、「明治スカット」のように正真正銘マイナーな炭酸飲料があったのだが、山崎八段がイメージしているマイナーな炭酸飲料とは何なのだろう。
それにしても、とても面白い表現だ。