大阪へ行く(5月4日:森一門祝賀会の一日・前編)

5月4日(水)

8:00 起床。

今日はホテル阪神で森一門祝賀会が行われる日。

8:10

東横インには、なんと朝食無料サービスがある。

だが、部屋でテレビを見ながらゴロゴロしているうちに時間が経つ。

8:50

朝風呂に入る。

9:45

チェックアウト。

短い時間だったが、東横インは素晴らしいコストパフォーマンスのホテルだと思った。

9:50

森一門祝賀会は、13:00から指導対局、18:00から祝賀パーティー。とりあえず、ホテル阪神や関西将棋会館のある福島まで歩いて、それから後のことは考えることにする。

10:10

淀屋橋から肥後橋方面に左折し、四つ橋筋を真っ直ぐ北上し、国道2号線の所で左折するというコースを歩く。

出張で何度か来ているので堂島近辺は懐かしい。

10:30

ホテル阪神を通りすぎて、福島駅に到着。

昼食は、『聖の青春』に出てくる「更科」か関西将棋会館1階の「イレブン」どちらかで食べようと考えていた。まず、まだ見たことのない「更科」を探す。

10:31

「更科」は、森信雄四段(当時)と村山聖少年が毎晩のように二人で夕食を食べた定食屋。

「更科」はすぐに見つかった。JR環状線福島駅の高架下の食堂街「壱番街」にある。

更科1

壱番街の見取り図。

更科2

残念ながら「更科」は日曜・祭日は休みのようだった。

更科3

10:40

関西将棋会館に到着。関西将棋会館に来るのは2003年7月以来のこと。

10:41

「イレブン」の開店は11:30。それまで時間をつぶす喫茶店を探す。

10:55

喫茶店がなかなか見つからなかったが、灯台下暗し。「更科」とは道をはさんだ高架下に喫茶店を発見。山小屋風のクラシックな造り、セルフサービス方式でコーヒーが200円。

11:35

イレブンに入る。この店は洋食店で私好みのメニューが多く、メニュー選択は非常に迷う。

結局、その日のランチセットの一つ、生姜焼きセットを注文する。

イレブンで生姜焼きを食べるのは初めてだが、生姜焼きの肉質がしっかりしていて味のバランスも良く、また、スパゲティサラダ、キャベツなどがさり気なさの中に光り輝くものがあって、絶妙なランチだった。

12:00

ホテル阪神に入る。

荷物をクロークに預けて1階のコーヒー店に。

よくよく考えると、ホテル阪神の中に入るのは初めてだ。

12:50

10階の森一門祝賀会の会場へ。

受付の所で森信雄七段に昨日のお礼をする。

受付で会費を払い、プログラムと記念扇子と若島正さんの祝賀曲詰『山』のプリントを受け取る。受付は森門下の奨励会員。

今回の祝賀会でお祝いの対象となるのは、

  • 山崎隆之八段…叡王戦優勝
  • 糸谷哲郎八段…B級1組昇級
  • 室谷由紀女流二段…マイナビ女子オープン挑戦者(挑戦中)
  • 山口絵美菜女流2級…女流2級昇級

曲詰『山』は、山崎隆之叡王と山口絵美菜女流2級の「山」に因んだもの。糸谷哲郎八段と室谷由紀女流二段の「谷」は盤面に表現するのが難しく今回は見送りだったとのこと。

長編純文学作家にショートショートをお願いする編集者のごとく、若島正さんに短手数の詰将棋をお願いするのは大変だったと森信雄七段は語っている。

記念扇子は、山崎隆之八段・初代叡王「大局観」、糸谷哲郎八段「自創」の連署。

「大局観」は、村山聖九段が色紙によく書いていた言葉。

村山聖の色紙(森信雄の日々あれこれ日記)

プログラムが面白い。

森一門祝賀会 5,4 アルバム(森信雄の写真あれこれ)

それにしても、「自分を飲み物に例えたら?」のような質問は誰が考えているのだろう。なかなか浮かばない発想だ。

13:15

指導対局は森一門の棋士・女流棋士・三段の奨励会員・川崎大地四段、本間博六段、阪口悟五段、野間俊克六段、飯島篤也四段が担当。

受付終了後、指導対局受付で複数枚の裏返しのカードから1枚を引く。

私が引いたのは「山崎5」。

指導対局棋士1人が3面指しなので、指導対局が始まった13:00段階の山崎八段の席は山崎1から山崎3までを引いた方が指導対局を受けているというわけだ。

なかなか考え抜かれたシステムだと思った。

13:20

山崎八段が指導対局をしている机の近くで待機。

山崎八段の指導対局は、下手の棋力によって変化をつけているようで、例えば初級者の小学校低学年の女の子には、悪手を指したら「この手は◯◯◯なので良くない手だから、違う手をやった方がいいよ」と優しく教えながら進めている。この子は一生山崎ファンになるだろう。

隣の席の糸谷哲郎八段は対照的に、立ったままでバシバシバシと早指しで進めていく。

それぞれ個性が出て面白いものだと思った。

13:40

私の番が来た。二枚落ちでお願いする。

銀多伝で中盤まで好調。山崎八段の困ったようなボヤキを聞けるのが嬉しい。

しかし、終盤の入り口で私に見落としがあり角が死んでしまう。突然のことで私が目を白黒させていると、山崎八段は「フフフフフ」と笑う。その笑い方にとても愛嬌があり、これも山崎八段ならではだと感じた。

幸いなことに、その後の私は攻めるしか勝つ見込みがなくなり、攻め続けているうちにどうにか勝つことができた。

「ここでの▲4四歩はいい手でしたね。この手が指せるなら二枚落ちの手合ではありません」と局後の山崎八段。

嬉しい。

14:40

少し休んでから、再び指導対局受付へ。

先ほど引いた「山崎5」のカードと引き換えに新しいカードを引くことができる。

次に私が引いたカードは、「糸谷16」。

今日お祝いされる二人の男性棋士を引き当てたのだから、我ながら凄い。

15:00

私の番が来た。やはり勉強のため二枚落ちでお願いする。

昨日から感じていることだが、二枚落ち下手を指すと、自分の将棋のチェックができるように思った。遊び駒は作っていないか、駒を有効に働かせているかどうか、攻めるべき時に攻めて守るべき時に守っているか、など。

15:20

銀多伝で中盤まで好調。しかし、糸谷八段が私の のぞき角をいじめに来た。

守っていると、ずっと守りに入らされてどこかで致命傷を負いそうな不吉な予感がしたので、桂を只捨てして角を切る。その代償に中央突破に成功。

その後、攻めを続け寄せに行ったが、受けられているうちに局面が複雑化して指し切り。そして私の玉は詰まされた。

寄せに行っている時の私の好手に、糸谷八段が「オッ」と言って少しのけぞってくれたのが嬉しかった。

局後に、私が見逃した詰み手順を糸谷八段が教えてくれた。

その手は5手読んでダメだと思いやらなかった手。7手読んでいれば発見できていた手順だ。いい勉強になった。

16:00

森信雄七段は受付や全体の進行を確認したりと、指導対局会場の外で動き回っている。

森一門の奨励会員は、受付担当、指導対局受付担当、指導対局進行担当(順番が来た方への案内、どの席が何局終わったかの指導対局受付への連絡など)に分かれて大忙し。

16:10

私は12階の喫煙所へ行ったり、会場の10階をブラブラしたり。

16:20

今日の会に、映画「聖の青春」キャストスタッフ一同とニコニコ生放送から花が贈られている。

祝賀会

17:00

パーティーからの出席者の来場が始まる。

関西在住の棋士も次々と来場。

17:10

4月30日の『オレたち将棋ん族エピソード2出版記念・32年!大感謝祭』に来られていた方でこの会にも参加されている方も多い。

17:15

『オレたち将棋ん族エピソード2出版記念・32年!大感謝祭』のクイズで1位となったTさんと話す。

Tさん「この間のクイズ、面白かったです」

私「あの問題を全問正解するのはすごいことです。私のブログを毎日見ていれば答えが分かる問題がほとんどでしたが、ずっとブログを見ていてくれたんですね」

Tさん「分からない問題ばかりで…よく全部当たったと思います。楽しかったなあ」

自分にとって世の中はそれほど甘くないということを実感する。

たしかに、ブログをくまなく読むよりも、正解確率2分の1の問題を10問以上正解を続けることの方が難しいかもしれない。

18:00

祝賀パーティーが開始される。

(つづく)