「受けが好きとは聞いてはいたがこれほどとは!」

将棋世界1999年1月号、神吉宏充六段(当時)の「今月の眼 関西」より。

 1図は木村一基四段-小阪昇六段戦で、木村の居飛穴に小阪が藤井猛新竜王愛用の戦型から捌き、△3八角と打ち込んだ局面。ここからの木村の粘りが実にしぶといものだった。

木村小阪1

 まず▲1八角と打ち、△6三歩に▲4八金。△2九角成▲同角△7六桂▲7九玉に△4六飛で決まったかに思えたが、▲5八金上(2図)で際どく残し、最後は小阪をうっちゃって勝ち。受けが好きとは聞いてはいたがこれほどとは!

木村小阪2

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木村一基八段が「千駄ヶ谷の受け師」と呼ばれるようになるずっと前の一局。

2図から△2六飛と回れれば良いのだが、それには▲1五角の王手飛車取りがある。

読み抜かれた絶妙の受け。

敵の攻め駒を責める受けの典型とも言えそうだ。