将棋世界2004年8月号、「第22回朝日オープン将棋選手権就位式」より、羽生善治朝日オープン選手権者のスピーチ。
「プロになって19年目。後輩もたくさんできて研究も進み、今までの考え方だけではこれからは大変だと考えています。不調ではないかということを私もずいぶん聞かれているんですけど、あんまり聞かれると本当に不調になりそうなので、この辺で終止符を打ちたいと思っております。皆さんご協力お願いします(笑)」
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この時は羽生善治一冠(王座)の頃。
前年度から、竜王、王将を、そしてこの就位式の1週間前には名人位を失冠している。
そのような時期のスピーチ。
ユーモア溢れる名スピーチだと思う。
「この辺で終止符を打ちたいと思っております」の言葉通り、この年度、羽生王座は、王位、王将、棋王を奪還する。
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しかし、よくよく考えてみると、羽生棋聖に今も昔も、「不調なんじゃないですか」「調子悪そうですね」などと声をかけられる人が果たしているのだろうか。
ほぼ絶対と言っていいほど、誰もいないのではないかと思う。
いたとしても、インタビューをする記者ぐらいだろうか。