「将棋界はいつの世でも、Cクラスが強くないと活気が生じない」

将棋世界2004年7月号、河口俊彦七段(当時)の「対局日誌」より。

 将棋界はいつの世でも、Cクラスが強くないと活気が生じない。下から突き上げる感じが常に必要なのである。中原、米長が出たとき、中村、高橋など新人類棋士が出現したとき、羽生など今の黄金世代がデビューしたときは、やがて来る活況を予感させた。

 そこで現在がどうなっているかといえば、一に渡辺、二に山崎(この差は僅かで、逆だとの異論もあろう)三、四がなくて五が大勢、という形勢である。トップグループに対抗できるのが二人だけではいかにも薄い。どうしてもあと3、4人、タイトルに近い所まで行ける若手が欲しいのだが、なかで私が期待しているのは松尾五段である。

 2、3年前を思い出すと、松尾五段は凄い勢いだった。勝ちまくるだけでなく内容がよかった。情報に頼る気配が見えないのが好感を持てた。ところが、昨年はすっかり伸び悩んだ。それは今もつづき、本局のように力を出せない将棋が多い。戦型を見ても、振り飛車を指す棋風ではないはずで、迷いが見られる。才能に自信を持ち、早く立ち直ってもらいたい。

(以下略)

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「将棋界はいつの世でも、Cクラスが強くないと活気が生じない」

ここでの強さは、トップグループに対抗できるほどの強さということになる。

そういう意味では、現在は藤井聡太七段をはじめとしてC級1組・2組の若手棋士の層が厚いので、将棋界に活気が生じる時代・構造になっていると言えるだろう。

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現在の将棋界の活況、河口俊彦八段が生きていたらどのように書いていただろうと思うことがある。

あと、池崎和記さんが生きていたら、現在の関西棋界についてどのように書いていただろう。

どちらも、ぜひ読みたい。