羽生善治竜王が大山康晴十五世名人の通算勝ち星を抜く日

将棋世界2005年6月号、真部一男八段(当時)の「将棋論考」より。

 羽生四冠が森内名人に挑戦している第63期名人戦第1局を制し、通算900勝を達成した。

 34歳6ヵ月はもちろん最年少、19年3ヵ月での到達も史上最速記録である。

 通算勝ち星も、大山康晴1433勝、中原誠1279勝、加藤一二三1238勝、米長邦雄1103勝、谷川浩司1080勝、内藤國雄1064勝、有吉道夫1040勝に次いで史上第8位となった。

 8位とはいっても羽生の年間勝ち星平均は47勝強であるから、仮にこのペースが持続すれば、2年少々で1000勝に到達し5年目には米長の記録を上回る計算だ。

 だが、いくら羽生が将棋のモンスターでも、このハイペースが限りなく続くことはあり得ないから、6年目からは40勝平均になるとしよう。すると大山の記録に追いつくのは羽生47歳ということになるが、果たしてどうだろう。

 現実には40歳を過ぎると疲労が蓄積されるようになるから、もう少し年数はかかるだろうが、大山の通算勝ち星を凌駕するのは間違いなさそうである。

(以下略)

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玲瓏 羽生善治 (棋士)データベース」のデータによると、羽生善治竜王の通算勝ち星記録は次の通り。真部一男八段(当時)の予想とも比較してみた。

1000勝→2007年12月20日(真部八段:2年少々=2007年中)
1104勝→2010年6月26日(真部八段:5年目=2009年度中)

1000勝の時期は真部八段の予想通りで、1104勝(米長邦雄永世棋聖を上回る)は真部八段の予想の約3ヵ月遅れだが、これは誤差の範囲と見て良いだろう。

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大山康晴十五世名人の1433勝を超える1434勝について考えてみたい。

現在の羽生竜王の通算勝数は1405勝(2018年7月23日対局分まで、未放映のテレビ対局を除く)。

あと29勝ということになる。

羽生竜王の今期の勝数は7。

ここ3年間の羽生竜王の勝数は、

2017年度:32(勝率0.593)
2016年度:27(勝率0.551)
2015年度:30(勝率0.638)

3年間の年度あたりの平均勝ち星を30勝とすると、今期はあと23勝。

計算すると、羽生竜王の通算勝数が1434勝になるのは2019年の6月頃ということになる。

しかし、羽生竜王が竜王戦、順位戦以外の棋戦で昨年度以上のハイペースで勝ち続ければ、今年度中に1434勝達成も十分に考えられる。

羽生竜王は今年の9月27日で48歳になるが、どちらにしても、羽生竜王が48歳の時に1434勝達成ということになるだろう。

そういう意味でも、真部八段の「大山の記録に追いつくのは羽生47歳ということになるが、果たしてどうだろう。現実には40歳を過ぎると疲労が蓄積されるようになるから、もう少し年数はかかるだろうが」の予想がほとんど当たっていることに驚かされる。