近代将棋1985年9月号、「棋界ミニ情報」より。
6月28日より7月4日まで棋聖戦観戦を兼ねたロサンゼルス将棋ツアーで2、3の話題をそこでひろってみると、
- 棋聖戦対局の翌日、米長棋聖は観光で映画等で有名になったビバリーヒルズ、サンタモニカの海岸をぶらり。途中俳優のポール・ニューマンの大邸宅の前で記念写真をパチリ。「どうかね、自宅の前でスナップを一枚という風情に見えるかね、ハッハッハッ」、現在の大活躍を見聞きしているファンにとっては見えなくもないでしょう。
- ツアー5日目、一行の大半がラスベガスに飛んだその日、朝早く宿泊先のホテルニューオータニのロビーで将棋の対局を始めた元アマ名人の若林さんと広島の有名人高木達夫さん。夕刻にのぞくと早指し戦でまだ対局中。翌日若林さんにたずねると「40番か50番は指したかな」。わざわざロスくんだりまできて将棋三昧でもなかろうにと思いますが、根っから好きなんですネ。
- ラスベガスではすっかりディーラーにかもにされた森、勝浦の両八段。懲りた(失礼)と思えたのですが、帰りの機中では森安夫妻や同行の阿佐田哲也氏を仲間にいれてブラックジャックをはじめました。一方では、ツアーの何人かが将棋盤をとり出してパチリパチリ。いやあー好きですネ。
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森雞二八段(当時)がラスベガスで散々な目に遭った時の、棋聖戦ロサンゼルス将棋ツアー。
森雞二八段はこのツアーの副団長。団長は大山康晴十五世名人。
→屋敷伸之九段が中学時代に出場した「ロスツアー記念将棋大会」
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「ポール・ニューマンの大邸宅の前で記念写真をパチリ」
この時は、米長邦雄棋聖(当時)の散歩がてらだったが、調べてみると、「ハリウッドスター豪邸巡り」という現地ツアーがあるようだ。映画のロケ地も含まれているので、映画ファンの方にはかなりインパクトがありそう。
→ハリウッドスター豪邸巡り(DREAMS COME TOURS)
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広島の高木達夫さんは、私とバトルロイヤル風間さんが2009年の将棋ペンクラブ大賞文芸部門優秀賞を受賞した『広島の親分』の主人公。
高木さんは、飯干晃一著『仁義なき戦い』に名前が出てくるほどのテキヤの大親分だったが、昭和40年代前半に引退。
組員に公営ギャンブルを含む博打を禁止するほど、博打が嫌いだった。
そういうわけなので、高木さんはラスベガスへは行くはずもなく、大好きな将棋をずっと指していたわけだ。
親分を引退した後の高木さんは、大型アマチュア大会の創設、関西将棋会館建設などの功績で、日本将棋連盟から七段を贈呈されている。