将棋世界1991年10月号、大野八一雄五段(当時)の「公式棋戦の動き」より。
私は週のうちに半分ぐらいは連盟に顔を出しているが、そのほとんどが対局者の森内と顔を合わせる。
ちょっと勝ち過ぎでねえのか森内よぉ。
そんな幸せの森内が「僕はバカです。死んだ方がいい。もうダメだ」となげいている。
負けたのかと思いなぐさめてやろう(こんなに勝っている奴にその必要はないと思ったが…)と声をかけたら、対局は終わってなく千日手指し直しだという。
6図がその局面で△5八となら詰めろで勝ちだったのを△4二銀打▲4三銀成△同銀▲4四銀を繰り返して千日手になった。
森内曰く「回数を勘違いした」との事。
シビアにぎりぎりまで勝ちを確認しようとするからだよっていうの(でも偉い)。
(以下略)
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このようなことはあったが、千日手指し直し局は森内俊之五段(当時)が勝っている。
この棋戦は勝ち抜き戦で、本局に勝って森内五段は5連勝。
通常の勝ち抜き賞金に加え、5連勝の賞金30万円も獲得した。
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この1年半前、森内四段(当時)は、この逆のパターンで痛い目にあっている。
森内九段の若い時代の、このような時に出るボヤキは、最大級の自虐的な雰囲気が漂っている。
→森内俊之四段(当時)「ひどかったす。死にました。もう投げます」