8月28日(日)に神戸で「東日本大震災支援チャリティーイベント こうべ将棋まつり」が開催される。
その中で、”ミニミニ駒音コンサート (初公開歌声! 棋士3人! 女流棋士3人!)”というコーナーがある。
イベント出演棋士のうち女流棋士は3名(村田智穂女流二段、室田伊緒女流初段、室谷由紀女流初段)なので、女流棋士全員の歌声を聴けることになる。3人の男性棋士が誰なのかも興味深いところ。
非常に面白い企画だと思う。
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以前は、年末の東京で「駒音コンサート」が開催されていた。
私は1997年と1998年に行っている。
今日は1997年の「駒音コンサート」の模様を振り返ってみたい。(段級位などはすべて当時のもの)
近代将棋1998年3月号巻末グラビアより。
将棋が好きな音楽家と音楽を愛する棋士達とが、互いの本職と趣味の「技」を出し合う楽しくユニークな音楽会「駒音コンサート」は、毎年暮れの恒例イベント。第11回目を数える催しは、平成9年12月17日、東京虎ノ門の「イイノホール」で行われました。(日本楽壇将棋連盟・スポーツニッポン新聞社主催)
棋士達がどれほど張り切って熱を入れたかは、高橋道雄九段一家総出の熱唱ぶり(写真上)をご覧になれば一目瞭然でしょう。
(高橋九段一家が歌った曲→SPEED「STEADY」)
(中略)
シューベルト作曲交響曲第8番「未完成」(第一楽章)の指揮に挑戦した青野照市九段は「いやーっ。対局するときよりずっと緊張しました」と、大汗をかきながらも喜色満面。
(青野九段が指揮した曲→シューベルト「未完成」)
清水市代女流名人・倉敷藤花は、NHKテレビドラマ「ふたりっ子」の中でオーロラ輝子が歌って大ヒットした「夫婦みち」を切々と歌い上げました。
(清水女流名人が歌った曲→オーロラ輝子「夫婦みち」)
声楽を勉強している麻衣子さんと結婚したばかりの森下卓八段は「家での練習の成果をお見せします」と言いながら「無錫旅情」の出だしをとちり、「本番になったら頭の中が真っ白になってしまいました」。でもパニック状態からすぐに立ち直って、二小節目から朗々と声を響かせ、特訓の成果を発揮しました。ちなみに森下八段の対局のある日は、「行ってきます。今日一日頑張って参ります」といいながら玄関を出て行く森下八段に向かって、麻衣子さんが舞台で歌うような大声で、「頑張れー。勝ってこいー」とエールを送るそうです。
(森下八段が歌った曲→尾形大作「無錫旅情」)
こうした楽しい話を引き出すのは、司会進行役の山本直純氏と神吉宏充六段。サンタクロースに扮した先崎学六段も一役買って会場は笑いの渦。
つづく
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駒音コンサートには、故・山本直純さん、故・神野明さん(ピアノ)、岩淵龍太郎さん(バイオリンの長老)、バリトンの宮本聡之さんほか、そうそうたる音楽家が出演していた。
そして30名以上のオーケストラ。
駒音コンサートでは、フルオーケストラをバックに歌を歌うことになる。
普段はクラシック音楽を演奏するオーケストラが歌謡曲を演奏するのだからすごい。
歌う棋士は、緊張するとともに、とても気持ちが良かったと思う。
当日は8名の棋士と9名の女流棋士の出場。
そして、二上達也日本将棋連盟会長と大内延介専務理事。、
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高橋九段のSPEED「STEADY」、ミリタリーパンツとライトブラウンのTシャツで大活躍。
青野九段の写真を見ると、いかにも指揮者のような雰囲気になりきっている。
清水女流名人は振付入りの演歌の熱演。
森下八段の「無錫旅情」は、今から考えると意外な選曲だ。
森下九段は2008年の将棋年鑑で好きな曲を「中森明菜 デザイヤ」と回答している。もちろん、好きな曲と得意な曲は違う曲になることが多いが、ギャップが面白い。
(明日の後編に続く)