近代将棋1997年6月号付録、「初めての棋戦優勝シリーズ 羽生善治四段初優勝編」、鈴木宏彦さんの1986年の第10回若獅子戦「羽生善治四段-中田功四段戦」の観戦記より。
ちょっと話は飛ぶが、新若獅子となった井上慶太四段につけたニックネーム「しのぎの井上」というの、どうですか皆さん。似合うと思うでしょ。
筆者、最近仕事で大阪に行ってきたが、関西将棋会館ではすでにこのニックネームが流行のきざしを見せていた。神吉四段など、井上四段をつかまえて「おい慶太、よかったのぉ、いい名前がついて。しめじの井上言うんかい。しめじ言うたら、味はええけど歯ごたえはない言う意味やろなあ」
違うちゅうに。しめじやのうて、しのぎやで、しのぎ。えらい違いや、まったく。
(以下略)
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”しのぎ”を”しめじ”にしてしまう、この強引さ。
でも、うまいことを言っている。
”しのび”のように1文字違いで3文字の母音の並びが同じとか、”したぎ”のように1文字違いが筋と思うのだが、このような理屈や概念を超越するのが関西流のノリなのだろう。
とても勉強になる。