三浦弘行五段(当時)「本当に、これに書いちゃっていいんですか?」

将棋世界1995年10月号、「読者が作る声のページ レタープラザ」より。

三浦五段ありがとう!!

 先日行われたIBM杯の表彰式場で、タイトル戦中の三浦五段をおみかけし、サインをいただいたのですが失礼を省みずゲームボーイの裏に書いていただきました。

 私がいつも負かされていた将棋ソフトだったので、「強くなりますように」と書いてもらいました。

 その後、今までの連敗が嘘のようにゲームボーイに勝つことができました!夜中の3時だというのに飛び上がって喜んでしまいました!これも三浦先生の御利益と感謝してます!

 三浦先生これからも頑張ってください!!

(東京都 Tさん)

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Tさんは女性で、三浦弘行五段(当時)のイラストが描かれている。

三浦五段の頭の上に「三浦五段ありがとう!!」と大きく書かれ、三浦五段が「本当に、これに書いちゃっていいんですか?」と語っているシーン。

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この頃の三浦弘行五段は、棋聖戦で羽生善治棋聖に挑戦をしていた時期。この期は0勝3敗で敗れるが、翌年も棋聖戦で挑戦者となり、羽生善治七冠(当時)を破って棋聖位に就くことになる。

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三浦弘行九段は色紙に「忍」、「克己」、「信念」と書くことが多い。

「忍」と書かれたゲームボーイもなかなか趣きがあって良いと思うが、Tさんがお願いしたのは「強くなりますように」。

たしかに、非常に実戦的な言葉だ。

大好きな棋士に、「強くなりますように」と色紙に書いてもらえれば、それだけで香車1枚以上は強くなれるような感じがする。

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ちょうどTさんと同じ頃、1995年のことだが、仕事で田中寅彦九段に会ったその日にパチンコをやると、毎回打ち止めになることが続いたことがあった。

棋士のご利益

棋士には、そのような、見えない何かの力があると思ったものだった。