将棋世界1984年6月号、森信雄四段(当時)の1ページ講座「詰将棋の作り方」より。
将棋を指すには相手が必要ですが、詰将棋は一人でも楽しめます。
そして、詰将棋は解くのも勿論ですが、作るという楽しみ方もあるのです。
私はどちらかと言うと、作るより解く方が好きですが、それでも随分作りました。
余り満足のいく作品は少ないのですが、上手、下手に関係なく楽しめるものだと思っています。
それではどうやって作るのでしょうか。
初めて作ってみよう、と思った人のために易しい詰将棋の作り方を説明します。
いちばん作り易いのが、詰め上がりから逆算する方法です。
1図。
▲3三銀成までの詰みですが、これを素材に作っていきます。
2図。
▲1三歩△同竜▲2一竜△2三玉▲3三銀成までの詰み。
1三の地点を埋めてから、▲2一竜から▲3三銀成までの詰め上がりを狙ったものです。
これだけではまだ詰将棋とは言えません。
3図。
▲2四桂△同竜▲1三歩△同竜▲2一竜△2三玉▲3三銀成までの詰み。
打ち歩詰めを打開するために、▲2四桂と捨てて竜を呼び、それから▲1三歩以下1図の詰手順となります。
この様に詰将棋を作る時は、いろんな手筋を組み合わせていきます。
ただ手筋の組み合わせだけでは、易しいし物足りません。
その中にも、自分の個性を出すのが大切な事だと思います。
4図。
▲2一竜△2三玉▲3二竜△1二玉▲2四桂△同竜▲1三歩△同竜▲2一竜△2三玉▲3三銀成まで11手詰。
初めの4手を付け加えて一応完成です。
ただ初手に▲2一竜と駒を取るのは、詰将棋としてはどうかと思いますが、手筋ばかりでなく俗手を入れるのも、自分の好みでいいと思います。余り参考になる良い詰将棋ではありませんが、1図の素材から、4図の詰将棋ができました。
皆さんも是非一度作ってみて下さい。
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なるほど、自分の実戦の中から自分で会心を思う詰み手順を記録しておいて、そこから逆算的に詰将棋を作るのが、初めて詰将棋を作るときには良いかもしれない。
あるいは、プロ棋戦のネット中継で現れた気に入った詰み手順をベースに逆算的に作る手もありそうだ。
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今回初めて森一門祝賀会に出席する。
いつもはイベントの世話役的な立場であることが多いのだが、この日は、一将棋ファンとなって楽しんできたいと思っている。
また、前日の将棋ペンクラブ関西交流会でも森信雄七段にお会いできる。
今から楽しみでならない。