米長邦雄王将(当時)「先崎は、アイツはもう破門にしようかと思っていたんだが、オレと一緒に脱いだんでやめにしたよ」

将棋マガジン1990年6月号、神吉宏充五段(当時)の「へえへえ何でも書きまっせ!!」より。

 今日は関西に珍しく米長大先生が来ておられる。格下の井上との対戦なのに、なぜ大阪へ?と思ったが、名人戦の絡みで京都へ行く予定があるのでらしい。私が挨拶に行くといきなり「もう、オレのフォーカス見てくれたかい?」

「もちろんですよ。衛星放送で出そうと思ったんですけど、さすがにディレクターから止められまして」何の事かわからない方もおられるだろう。米長は王将位奪取の喜びを相撲のシコをふむ格好で表現した。それがフォーカスされたのだ。もちろん浴衣の下には何もはいていなかった。そしてその横で弟子の先崎もパンツを脱いでいる……。

 小林が「これこれ」と言いながら自分のカバンの中から、フォーカスを取り出した。「どれどれ」と井上。米長は満足そうに「先崎は、アイツはもう破門にしようかと思っていたんだが、オレと一緒に脱いだんでやめにしたよ」。トレードは当分なさそうだ。

(中略)

 谷川名人が新居を購入した事は皆さんご存知だろうか?地元の神戸は六甲アイランドに新築マンションを買った。まだ完成していないが、赤や青や、原色を使った派手な壁で、ちょっと見は幼稚園のようにも思える。(そんな事はない!と谷川)

 間取りは4LDKである。なかでもリビングルームが33畳なのは驚く。「3.3畳の間違いとちゃいまっか、わしんとこなんか」とボヤく井上。東も「めっちゃいいとこやなあ。僕のとこもマンションやけど、環境がスゴイで」

「ええんですか?」

「そらな、1階がパチンコ屋で2階にサラ金があんねん。強盗が入りやすそうやし、なかなかやろ」

 谷川名人のマンションは、完成したら見に行こうと思っとります。ほんでリビングで絶対スモウをとったんねん。(ワシも行く・井上談)

(以下略)

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米長邦雄九段と内藤國雄九段の間で、それぞれの弟子の先崎学五段(当時)と神吉宏充五段(当時)をトレードしようという話が半分冗談で持ち上がっていた。

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「先崎は、アイツはもう破門にしようかと思っていたんだが、オレと一緒に脱いだんでやめにしたよ」

この時の打ち上げの様子は写真誌「フォーカス」に掲載された。

将棋紙誌にはもちろん脱いだ時の写真は掲載されていないが、そうなる前の打ち上げの写真は載っている。

将棋マガジン1990年6月号グラビア、撮影は弦巻勝さん。

この時の細かい状況→1990年王将戦第7局の打ち上げ