近代将棋1996年5月号、大矢順正さんの「棋界こぼれ話」より。
ここ1、2年、将棋界では静かにゴルフブームが起きている。若手棋士がこぞってゴルフクラブを振っている。
昨年の暮れから森内八段もゴルフをはじめ仲間入りした。
「ボクの師匠は佐藤さん(康光八段)なんです」と森内。
「いや、いや師匠だなんてとんでもないです。ボクがゴルフをすると、あまりうるさいから<自分もやりなさい>と勧めただけ」と佐藤八段はニヤニヤ。
森内八段は「練習ですか?ボクは練習嫌いですから、いきなりグリーンに出ています。朝が早いから気持ちが良いですよ。いい気分転換にもなります」
そんな森内八段は、早速、連盟のゴルフコンペにも出場する張り切りよう。
ぶっつけ本番もいいが、キャディーさん用のチョコレートをたくさん用意しておいた方がよろしいのでは。
最初は筋違い角が多いそうだから。
佐藤八段がゴルフを始めたと聞いたのは、ほんの2、3年前だったような気がする。一緒に始めたのが泉正樹六段だったが、こちらはすっかりのめり込んで技術的には大差が付いてしまったとか。
かつて泉六段は「将棋の駒を手にしている時間よりクラブを握っている時間のほうが多い」と苦笑していたほど。
佐藤八段の師匠格は飯野健二六段と達正光五段だが「現在、一番気になるライバルは滝さん(誠一郎七段)。理事をやっている関係で滝さんは、いろんな人からゴルフを誘われるらしい。実はボクも違った世界の人からゴルフやりますか?と聞かれるんで困っている」
いまやゴルフは社交術の一つで社会人には不可欠なものになっている。
そんな佐藤が、もう一つ練習を開始したのがバイオリン。
佐藤のバイオリンは知る人ぞ知る、なかなかの腕前。
暮れに行われる「駒音コンサート」では佐藤八段の独奏が恒例化しつつある。(過去二度行っている)
「そうなんです。昨年は順位戦とぶつかって出場できなかったが、今年はまたお声がかかるでしょうから、そのために時間のあるときに練習をしているんです」
今年の駒音コンサートでは、練習の成果を聴かせてもらいましょう。
さて、森内八段、佐藤八段の話をもう一つ。
羽生七冠王の誕生ですっかり棋士はメジャーになった。マスコミ関係から人気棋士への取材やテレビ出演の依頼が多くなった。
二人は、棋士の頭脳を買われてテレビのクイズ番組に出演する。
この原稿を書いている時点では収録が済んでいないので内容、結果を紹介できないのが残念だが…。
佐藤八段は、テレビ東京の特別番組でへの出演。ひと目1億の手を読む佐藤の頭脳が大いに発揮されるだろう。
森内八段は、クイズが趣味で前にもテレビのクイズ番組に挑戦したことがあった。今回はフジテレビ系の新番組で、第1回のゲスト。放映は4月18日、午後7時から。
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「昨年の暮れから森内八段もゴルフをはじめ仲間入りした」
森内俊之九段がゴルフをしたという話はあまり出てこないので、ゴルフをやっていたのはこの時期だけだったのかもしれない。
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「ボクの師匠は佐藤さん(康光八段)なんです」
「練習ですか?ボクは練習嫌いですから、いきなりグリーンに出ています。朝が早いから気持ちが良いですよ。いい気分転換にもなります」
森内八段が練習場へ行っていないということは、佐藤康光八段(当時)が手取り足取り教えたわけではなく、OJTのようにグリーン上で適宜アドバイスをしていたのだろう。
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「ボクがゴルフをすると、あまりうるさいから<自分もやりなさい>と勧めただけ」
森内八段が、どのようなうるさいことを言っていたのか、興味は尽きないところだ。
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「佐藤八段がゴルフを始めたと聞いたのは、ほんの2、3年前だったような気がする。一緒に始めたのが泉正樹六段だったが、こちらはすっかりのめり込んで技術的には大差が付いてしまったとか」
佐藤康光九段がゴルフを始めた頃のことは、次のスポーツ報知の記事に書かれている。
→【王手報知】棋界随一のゴルフ愛好家・佐藤康光九段、四半世紀以上プレー、影響受け今の将棋に
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「そんな佐藤が、もう一つ練習を開始したのがバイオリン」
それまでも、趣味として弾いていたバイオリンだが、駒音コンサートでの発表を前提として練習を開始したということ。
→佐藤康光竜王(当時)「これ、買ってきました。あとで食べましょう」
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「佐藤八段は、テレビ東京の特別番組でへの出演」
番組名を調べることができなかったが、記憶力の勝負という内容だったらしい。
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「森内八段は、クイズが趣味で前にもテレビのクイズ番組に挑戦したことがあった。今回はフジテレビ系の新番組で、第1回のゲスト」
この新番組は『天才!ヒポカンパス』で、司会は、笑福亭鶴瓶さん、大塚範一さん、森口博子さん。
瞬間的な記憶をメインコンセプトとするさまざまなクイズ、に挑戦するという、オーソドックスなクイズとは少し傾向が異なる番組。
視聴者は楽しめそうだが、解答者は疲れそうな感じがする。
森内八段はこの前年に「アタック25」に出演している。
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森内九段は、18歳の頃から『アメリカ横断ウルトラクイズ』に参加していた。
ある年は、森内・佐藤コンビで行ったこともあるという。
→森内俊之名人と佐藤康光王将の『アメリカ横断ウルトラクイズ』
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「羽生七冠王の誕生ですっかり棋士はメジャーになった。マスコミ関係から人気棋士への取材やテレビ出演の依頼が多くなった」
1996年4月ということでは、石田和雄九段と中井広恵女流王将(当時)が、4月6日の『平成教育委員会』に出演している。