羽生善治名人の初著作「ミラクル終盤術」より、18歳の羽生五段の感じ方と日常。
[第5章]受けで勝ちに
だいぶ前の話になりますが、昭和63年1月の下旬に4泊5日でスキー修学旅行に行きました。
自分の運動神経を考えると、かなり不安でした。
そして、結果は予想通り散々でした。
しかし、終わってみればそれなりに楽しかったスキー修学旅行なのでした。
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たしかに羽生名人は、スポーツ万能には見えないタイプだ。
羽生名人と私の共通点は、少なくとも2つある。
血液型がAB型であることと、スキーができないこと。
ちなみに私は、スケートもできないし水泳もできない。
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スキーには一度だけ行ったことがある。
スキー板を履いて数歩歩いたところで、足が変な方向へ向いてしまい、3mほどの深さの窪地に滑り落ちてしまった。
スキーは向いていないと強く感じた。
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数年前の12月、新富良野プリンスホテルに宿泊したことがあった。
知人の女性歌手のコンサートが新富良野プリンスホテルのチャペルであるというので、わざわざ見に行ったのである。
ホテルに到着して、あまりのスキー客の多さにビックリした。
よくよく考えてみると、北海道はスキーのメッカ。
スキー以外の目的で12月の新富良野プリンスホテルに宿泊する人は皆無に近いのかもしれない。
ホテルの売店では、富良野を舞台にした「北の国から」のビデオをレンタルしていた。本場のビデオだ。
一日目の夜、コンサートが終わった後、「北の国から’95秘密」のビデオを借りて部屋で観た。テレビで一度見ていたが、落ち着いて観ると非常に素晴らしい内容。宮沢りえが薄幸だが健気な女性役を好演している。
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この時点で「北の国から」に完璧にハマってしまったのだと思う。
富良野という土地の強いオーラの影響もあったかもしれない。
「’95秘密」を観終わると、すぐに次のビデオも観たくなった。
早速、ボロボロ涙を流した腫れぼったい目で、「’95秘密」を売店へ返しながら「北の国から’98時代」を借りる。
ナイタースキーを楽しんだ人達が次々とホテルへ戻ってきていた。
「’98時代」も最高な内容。涙が止まらない。
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翌日、”北の国から脳”になった私は、雪が降る富良野市内を歩き回る。
ドラマにも登場する「三日月食堂」で醤油ラーメンを食べて、北の国から資料館へも行った。
二日目のコンサートが終わった後、少し飲んで、すぐに売店へ行き「北の国から 2002遺言」を借りた。「北の国から」シリーズ最終回。
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多くの人がスキーをしている最中、私は「北の国から」のビデオに釘付けになっていたのだった。
本当にスキーには縁がない。
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「北の国から」屈指の名場面と言われる「泥の付いた一万円札」。
泥の付いた一万円札は、北の国から資料館に展示されている。