矢内理絵子女流四段

1ヵ月前のことになるが、昨年に続いて、女流名人位戦観戦記を書いている湯川恵子さんから誘っていただき3月29日に行われた里見香奈女流名人の「第三十七期女流名人位戦表彰式」に参加した。

里見女流名人、復興支援イベント参加へ…女流名人位戦の祝賀パーティーで (スポーツ報知)

第37期 ユニバーサル杯 女流名人位戦 表彰式 (株式会社ユニバーサルエンターテインメント)

第37期ユニバーサル杯女流名人位戦(表彰式の模様をアップ) (LPSA)

この日、米長邦雄会長のあいさつで「近々、大きな発表がある」という話があったが、今思えば、里見香奈女流三冠の奨励会編入試験のことだったことになる。

里見香奈女流名人・女流王将・倉敷藤花が奨励会1級編入試験を受験(日本将棋連盟)

里見名人、女性初のプロ棋士目指し「奨励会」編入試験 (スポーツ報知)

里見香奈女流三冠の決断には頭が下がる思いだ。ぜひ四段以上になってほしい。

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11:30から表彰式。その後、祝賀パーティー。

棋士では、私が確認できただけでも

米長邦雄会長、 西村一義九段、青野照市九段 中川大輔八段、上野裕和五段、

谷川浩司九段、大内延介九段、田中寅彦九段、中村修九段、鈴木輝彦七段、大島映二七段、

甲斐智美女流二冠、関根紀代子女流五段、矢内理絵子女流四段、斎田晴子女流四段、高群佐知子女流三段、竹部さゆり女流三段、上田初美女流二段、北尾まどか女流初段、井道千尋女流初段、山口恵梨子女流初段、渡辺弥生女流1級、

谷川治恵女流四段、宇治正子女流三段、

石橋幸緒女流四段、船戸陽子女流二段、中倉宏美女流二段、島井咲緒里女流初段、大庭美樹女流初段、大庭美夏女流1級、

が出席。

賑やかで和やかな雰囲気の会だった。

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祝賀パーティー終盤、里見香奈女流名人からの謝辞があった。

皆、それぞれの会話を止めて、里見女流名人に注目する。

私も体を180度回転させてステージの方を向いた。

すると、丸テーブルをはさんで目の前には矢内理絵子女流四段が立っている。

非常に華があり、かつ勝負師の凛とした緊張感も漂う後ろ姿。

矢内女流四段が立つのは、ステージ上の里見女流名人から真正面後方の位置。

そこから1.5m離れた真後ろが私。

矢内女流四段は、里見女流名人が話している間、微動もしなかった。

凛とした後ろ姿。

里見女流名人の防衛を祝福するとともに、「今期は私が女流名人を奪還してみせる」という強い意志のオーラが感じられた。

会場のほとんど最後列かつ真正面の位置で、里見女流名人に向かい合う矢内女流四段。

まるで「巨人の星」などのスポーツ根性劇画の1シーンを見ているようで、何とも言いようのない感動を覚えた。

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祝賀パーティーの最終盤は、報知新聞社 室雄二取締役編集局長による中締め。

室編集局長は関西弁で、なかなかノリの良いスピーチ。

矢内女流四段は、やはり微動もせずに聞いていた。

すると、室編集局長は、

「ところで矢内さん、今年は里見さんのライバルのあなたも頑張ってくださいよ」。

矢内女流四段は1秒間ほど微動もしなかったが、すぐに「バタッ」というような感じで姿勢がよろめき、隣にいた女性と笑いながら短い会話を交わしていた。

この突然のギャップも私にとっては感動的だった。

静かに燃える今期の矢内理絵子女流四段の活躍を期待したい。