ついつい間違ってしまう、谷川浩司四段(当時)出題の初段コース試験問題

将棋世界1979年2月号、「初段コース試験問題」より。

第1問 谷川浩司四段出題

谷川次の一手1

一気の寄せをねらう一着。

 

(正解は少し下の方に書いています)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〔正解〕 ▲4一飛成(32%)

 振飛車対居飛車の終盤戦です。振飛車側は一見固いようですが、△6七歩成を許すとうるさくなります。

 たとえば▲9一飛成(1%)のような手では、△5一銀とねばられてしまいますので、一気に寄せたいところです。

 まず目に映る▲2二角(5%)は、後手方に△1二飛と丁寧に受けられて続きません。また▲2三角(61%)も、△2三同玉▲4一飛成に△5一飛といううまい受けで切れてしまいます。

 この▲2三角以下の手順を逆に利用する▲4一飛成が正解です。

 △4一同玉の一手に、▲2三角△3二飛▲2二金△3一飛打▲3二金△同飛▲2二飛となって、先手優勢がハッキリします。

 ▲2二飛以下、△3一金は▲3二角成△同金▲2一飛成。また△3一銀は▲2一飛成です。普通はこのような攻め方は成立しないものなのですが、この局面は”後手の持駒が飛と歩だけ”という特殊な状態ですので成立するわけです。

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▲2三角(61%)とあるように、多くの方は▲2三角を考えられたのではないだろうか。私も▲2三角。

先手の持駒に銀があったり、後手の持駒に飛車がなかったりすれば正解になるのだが、この場合は△5一飛と打たれて「ギャッ」となってしまう。

初段コースの1問目だからと思って気軽に考えてはいけないという好例。

16歳の頃の谷川浩司九段の、非常に清々しく新鮮な次の一手だ。