将棋世界1979年3月号、「二段コース試験問題」より。伊藤果四段(当時)の出題。
ねらいは角打ちですが。
(正解は少し下の方に書いています)
〔正解〕 ▲3四角(1%)
局面はご覧のとおりの乱戦で、後手に△7九とと、金を取られては先手の負けとなります。さて、ここで先手の着手に注目されるところですが、うまい手があるのを発見されましたか?
そうです。▲7六角なのです。この角は放置しておくと(もちろん竜取りですが)、次に▲5三桂成の一発で後手がまいってしまうのです。それならば、これが正解かと思われますが実は、▲7六角のときに△5四歩がうまい防手で、以下▲9八角△7九とで結構むずかしいのです。
これを▲3四角ですと、△3三金▲4三角成△同金、ここで▲7六角△5四歩▲9八角△7九とには、▲4一飛があるという寸法なのです。
一見して▲7六角(63%)と打ちたい場面ですが、正解の▲3四角として、4三の駒を角と金に変えてからからの▲7六角はおもしろい手順でしょう。
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▲3四角△3三金▲4三角成△同金を経ることなく、1図から▲7六角△5四歩▲9八角△7九と▲4一飛は、△同玉▲4三飛成△4二金で受け切られてしまう。
▲3四角△3三金▲4三角成△同金の下準備をしておくと、▲7六角△5四歩▲9八角△7九と▲4一飛は△同玉▲4三飛成△4二金▲3二金とすることができる。
4三の角を金に繰り替えさせてからの▲7六角の発動。
言われてみればなるほどと理解できるが、最初からそこまで読むことは非常に難しい。
詰将棋ではないけれども、詰将棋の名作を見ているような気持ちになる。
正解率1%というのが感動的だ。
詰将棋創作の名手、伊藤果八段ならではの次の一手ということができるだろう。