将棋世界1980年10月号、「メモ帖より」より。
将棋まつりの升田九段
日本橋東急(東京)の第14回将棋まつりに升田九段が出場、満員の観客に講演して大拍手を浴びた。
「きょうは名人になりそうな人が、めずらしく来ておりますな」
というのは、その日の席上対局者、青野七段と谷川六段を指しているらしい。
「姿勢の良い人が名人になる傾向があります」
「先手後手、駒を並べてこれから指すという時、玉飛角金銀桂香を取り払って歩だけにすると、先手必敗。現実の将棋ではかえって先手がいくぶん有利というのは、先手に手順の組み合わせや選択の権利が強いからでしょう。このことを関西でこの間、話したら、内藤九段もびっくり、ポカーンとして聞いておった」
はては歴代総理大臣を毒舌のやり玉にあげたり、北方領土をソ連から返してくれるようにするには、などと、怪弁、快弁、とどまることを知らなかった。
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夏の将棋まつりで升田幸三九段の講演を聞くことができた時代。
「先手後手とも歩を9枚だけで戦うと後手必勝」という話は、升田幸三実力制第四代名人が元祖ということになる。
ソ連がロシアになる11年前のこと。
非常に貴重な講演だ。
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引っ越し作業の苦痛から逃れるかのように、1月は過去のテレビドラマを集中して観ていた。
昨年の暮からだが、「古畑任三郎」シリーズを全て、1月になってから「北の国から」シリーズ全作、そして「不毛地帯」全19話。(全てフジテレビオンデマンドで)
1月20日のブログ記事「幻となった映画『真剣師 小池重明』」で、
遠藤憲一さんは大好きな俳優だ。私が遠藤憲一さんの存在を初めて知るようになったのは、2009年のフジテレビ系ドラマ『不毛地帯』の予告編を見た時から。
と書いたが、私は「不毛地帯」の本編を見ていなかった。
そういうわけで、一度見てみようと思い第1回を見たら、ついつい惹き込まれて、3日間で最終回(19回)まで一気に観てしまった。
引っ越し作業から逃れたいというエネルギーには凄まじいものがある。
それはともかく、「不毛地帯」は終戦後シベリアに抑留されていた商社マンが主人公の、山崎豊子さん原作のドラマ。
当時は視聴率が良くなかったということだが、重厚な非常に良いドラマだと思った。
私の亡くなった父もシベリア抑留組だが、そのようなことを抜きにしても興味深かった。
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1991年にソ連が崩壊した時、私が最初に考えたことは「映画の007シリーズをこれからは作りづらくなるのではないか」ということだった。
もっとも、当時一緒に仕事をしていた大学の経済学部の先生によると、それよりも困っていたのがマルクス経済学の先生たちで、多くの人が計量経済学に転向しているということだった。