将棋世界2005年5月号、河口俊彦七段の「新・対局日誌」より。
前号でちょっとふれた、B級1組の島八段対阿部七段戦は稀に見る大熱戦だった。途中から阿部必勝となったが、終盤に粘られて島逆転勝ちで終わった。
長い秒読みの戦いの後、敗れた阿部七段はカッとなったか「あんた、相手が羽生だったら投げたでしょう」と叫んだ。すると島八段は「そんなことはない。でもあんたの顔を見ていると、投げられなくなってしまって…」と言ったとか。
(以下略)
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これは、「相手が羽生であってもなくても普通なら投げている。でもあんたの顔を見ていると、投げられなくなってしまって」と読み取れる。
もっと簡略化すれば、「あなただから投げなかった」と解釈できてしまう。
文字面だけを見ると、かえって火に油を注ぐような言葉に思えるが、実際の会話ではソフトな口調や表情なども加味されるので、雰囲気は異なっていたのだろう。
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阿部隆八段は10年ほど前からおとなしい感想戦を心掛けているという話だが、阿部隆八段の感想戦は勝っても負けても面白い。