村山聖五段(当時)「雀卓の前で倒れても本望です」

将棋マガジン1990年3月号、神吉宏充五段(当時)の「何でも書きまっせ!!」より。

 さて、私は村山五段と対局だが、村山といえば最近は麻雀が命だそうで、師匠の森五段の言葉を借りれば命懸けで麻雀をやっているそうだ。

 とにかく雀荘に一人で打ちに行き、オールナイトの所があれば朝までは、やっている。先日の指し初め式の時には前日から打って朝に連盟に顔を出し、夕方からまた徹マン。

 村山はこう公言してはばからない。

「雀卓の前で倒れても本望です」

 私は想像する。あの風貌でふらりと一人打ちでやって来た村山を見れば何も知らない人間ならきっと怖くて打てないのではないかと……。

 ところで読者の皆さん、現在麻雀の関西最強といえば誰だと思いますか?正解は女流の鹿野圭生女流1級。その強いヒキには脇六段も引退を決意したといわれている恐るべき打ち手なのだ。(ゼッタイやらんとこ)

(以下略)

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一昨年亡くなられた元・近代将棋編集長の中野隆義さんは、村山聖九段の麻雀について、

  • 危険牌を打つとき、顔が45度くらい傾くのが癖
  • しかし、そういったときに限って、その危険牌が通ってしまうと少ししてから上がってしまう

と書かれている。

中原誠十六世名人が最終盤にトイレへ立ったとき、羽生善治九段の手が震えたとき、と同じように麻雀においては村山聖九段の顔が傾いたとき、必勝形ということになる。

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雀荘に一人で行く友人がいた。

知らない人と麻雀を打つなんて怖くないのかなと思ったが、よくよく考えてみると、将棋の道場も、知らない人と将棋を指すわけで、なるほどそういうものなんだなと一人で納得したことがあった。

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この頃の村山聖五段(当時)の麻雀について、泉正樹六段(当時)が書いている。

村山聖五段(当時)の四角いジャングル(前編)

村山聖五段(当時)の四角いジャングル(後編)