芹沢博文九段ならではの大人の会話

将棋世界1988年2月号、中野隆義さんの編集後記より。

 酒場にて、隣同士が口論。カッとなった一方が、グラスの中身をバシャリと相手に。流れ弾をしたたかに浴びました。後日。せめてクリーニング代を、との謝罪に、応えていわく。

「それより、今度は狙った相手にちゃんとかかるようによく練習しておいてくれ」

 急逝した芹沢博文九段の、酒にまつわるエピソードの一つです。さらりとした会話のできる男に、小生もなりたいものです。

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昔の新宿の酒場では、作家や個性派俳優が一緒に飲んでいると、口論になって喧嘩にまで発展することがしばしばあったという。

この酒場は、新宿二丁目の「あり」である可能性が高い。

常連同士、仲がいいのに酔って口論して、酒をバシャリ。

次に店で会った時、誤射した相手が謝って「せめてクリーニング代を」という展開だったと想像できる。

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「それより、今度は狙った相手にちゃんとかかるようによく練習しておいてくれ」

このような気の利いたことが言えるようになりたいものだが、誤射された場合限定なので、なかなか機会は少ないと思う。

芹沢九段が愛した店