関西の鹿野圭生女流初段が、おもろい。
近代将棋1996年11月号など、中井広恵女流六段「棋士たちのトレンディドラマ」より。
女流棋士六人で長崎旅行をした時の話。
(太字が中井女流六段の文章)
雲仙で地獄めぐりをした時のこと。鹿野(圭生)初段が
「どのくらい熱いのかなぁ」
とブクブク泡の立っているお湯に触ろうとしたので、
「タマちゃん、やめた方がいいよ。やけどするよ」
と私が言うや否や、手を入れてしまった。意外と平気な顔をしている。
「じゃあ、タマちゃんこっちは?」
と、違う所を指さして言うと、
「はあー!? やめた方がいいよって言っときながら『こっちは?』はないでしょう」
と皆にせめられてしまった。
それからは、お湯の前を通るたびに
「タマちゃん、手番だよ」
と呼び止められる鹿野さんだった。
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鹿野さんの写真を撮ろうとしたら、
「今、生足だからダメ」
と拒否された。
「生足?何それー!?」
「素足のことを生足って言わない?」
「あっ、髪の毛のない人のことを生ハゲって言いますよね」
「それは、秋田のお正月の行事じゃないの?」
中倉姉も笑わせてくれる。
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長崎の市内観光の途中、タクシーの運転手さんが
「長崎でもイルカウォッチングができるんですよ」
と教えてくれたのをうけて、久津(知子女流初段)さん。
「わあ、生のイルカって見てみたい。私、水族館にいる養殖のイルカしか見たことないもん」
「生で見たことないとは言うけど、生のイルカとは言わんやろう。養殖のイルカってどないなイルカやねん」
一緒に同乗していた鹿野さんが突っ込むと、
「ほら、芸をするイルカが養殖のイルカですよ。でも、船に寄ってくるイルカはさすがに芸はしないでしょうね」
「あたりまえや」
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塚田泰明九段と高群佐知子女流三段の結婚式の日。
斎田晴子女流女流四段が、珍しく黒のドレスを着てきた。
「ちょっと地味だったかしら?」
どうやら、この結婚式の為に買ったドレスらしく、この日がデビュー戦だったらしい。
男性ファンが殆どの会場では、紺や黒の洋服では目立たないからという彼女は、本当にカラフルな色がよく似合う。
しかし、この黒のドレスには、縦に何本かのラインストーンがついていて、地味どころか、かなり目立つ。
大阪の姐御こと、鹿野初段が、
「どこがやねん!? 充分目立ってるよ。暗くなったら、まるで人間ミラーボールやんか」