将棋マガジン1990年1月号、頁下の3行コラム「若手棋士こぼれ話」より。
(1989年)10月24日早朝、神宮外苑軟式野球場・コブシ(人工芝)球場で、キングス・ジュニア(若手棋士、奨励会員チーム)VSバッカス(日本将棋連盟職員チーム)の軟式野球・七回戦が行われた。
当日、キングス・ジュニアは、中田(宏)監督が珍しく欠席、又、新人王戦・第2局が行われる日とあって、中川四段も残念ながら欠席となったのだが、それでも若手棋士・奨励会員らが、合計13人(!)同球場に集合した。
同チームの打順(11番迄)は、
一番(サード):秋山三段
二番(センター)中座二段
三番(ライト)泉六段
四番(キャッチャー)達五段
五番(ショート)準棋士の小田切初段
六番(セカンド)飯塚二段
七番(レフト)郷田三段
八番(ファースト)長岡二段
九番(ピッチャー)小河初段
そして指名打者に、植山五段と森内四段という豪華(?)な布陣。
更に、ベンチには、鈴木桂一郎・元奨励会二段、マネージャーの清水市代女流三段が控えた。
一方、バッカスチームも、強力新人を二名加入させるなど戦力充実、白熱の好勝負が期待された。
ところが、前の週に予定されていた試合が雨で流れ、スライド登板となった小河投手の調子が今イチ、試合は序盤から大荒れとなった。(以下次号)
将棋マガジン1990年2月号、頁下の3行コラム「若手棋士こぼれ話」より。
2~4回にショート・小田切、セカンド・飯塚、サード・秋山、レフト・郷田とエラーが続出して、なんと7失点、4回表のバッカスの攻撃が終了した時点では、7-0(!)の大差がついた。
ところが草野球、最後まで何が起こるか判らない。劣勢のキングス・ジュニアが4回裏から猛攻撃、長岡・中座・小河、更に結婚式前の植山五段にも快振のタイムリー・ヒットが飛び出すなど、大量13点(!)を奪った。
6~7回には、エース・小河初段が立ち直ってバッカスをパーフェクトに押さえ込み、結局キングス・ジュニアチームの、大逆転勝ちとなった。
バッカス 0 3 2 2 1 0 0 =8
キングス 0 0 0 3 9 1 X =13
尚、、この”将棋連盟”野球チーム対決は、翌11月の20日にも同じ神宮外苑軟式野球場で行われたが、この時は前回欠場した中川四段、中田(宏)五段と、初参加の佐藤(康)五段が、いずれもブレーキとなってしまい、8-5でバッカスチームが快勝した。
(以下略)
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頁下を有効に活用した3行コラム。文字が小さく、このような話題は1号完結ではない場合もあった。
当時は、このコラムを読んでも、「へー、そうなんだ」で終わっていた、あるいは読み飛ばしていたとしても、今読むと、いろいろと感慨深いものがある。
現代版でもこのような試合があったのなら、多くのファンが駆けつけるのではないかと思う。