森信雄六段(当時)の心理テスト

近代将棋1993年4月号、池崎和記さんの「福島村日記」より。

某月某日

 関西将棋会館でスポニチの大西記者に、推理作家の黒川博行さんを紹介される。月刊誌の仕事で村山六段を取材中とか。

 黒川さんは数年前、「キャッツアイころがった」でサントリーミステリー大賞を受賞。最近では「大博打」「封印」などの作品がある。その黒川さんが将棋ファンとは知らなかった。

 「サントリーミステリー大賞は賞金一千万円。うらやましい」と私が言ったら、黒川さんは笑って「僕のときは五百万でしたよ」。それでも、すごいですよ。

 夜、黒川さん、森六段、東七段、大西記者と飲みに行く。バーで森さんに人間性診断と称する変なテストを受けた。

 「トラ、ヒツジ、サル、ウマ、ウシがいます。もし、これらの動物の一つずつ捨てていかなければいけないとしたら、あなたはどの順番に捨てますか」という設問だった。答えによって、その人の人間性がわかるというのだ。

 黒川さんの答え①サル②ウマ③ヒツジ④トラ⑤ウシ。

 東さんの答え①サル②ヒツジ③トラ④ウシ⑤ウマ。

 森さんの答え①サル②ヒツジ③ウシ④ウマ⑤トラ。

 池崎の答え①トラ②ウマ③サル④ヒツジ⑤ウシ。

 それぞれ、微妙に違う。森さんが解説していわく、「トラはプライド、ヒツジは家庭、サルはお金、ウマは仕事、ウシは食料なんです」。

 もし、このテストが正しいとすると、私は真っ先に、プライドと仕事を捨てる人間、ということになる。当たっていなくもない。

 で、「僕にはプライドがないからな。仕事も十数回、転職してきたし」と言ったら、「プライドを簡単に捨てられるというのは、自分にそれだけ自信を持ってるということですよ」と森ドクター。そして「池崎さんはふだん、ムチャクチャな生活をしてるけど、本当は家庭を大事にする人なんや」とも言う。

 ヨメさんに聞かせてやりたい。

 このテスト、森さんは最近、ある女性から教えられたとか。「捨てるのが一にお金、ニに家庭じゃ、ふられるよね」と森さん。そういうことだったのか。

(以下略)

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トラ、ヒツジ、サル、ウマ、ウシ、日常生活では接することの少ない動物ばかりなので、何のしがらみや先入観もなく選んでいけるというのが、この心理テストの特徴だ。

この年の10月に、スポーツニッポンが森信雄六段(当時)の婚約をスクープしている。

タイミング的に見て、森信雄六段にこの心理テストを伝授したのは現在の奥様なのかもしれない。

ちなみに、森信雄六段と奥様の結婚披露宴での媒酌人は黒川博行さんだった。

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この心理テストは1990年代初頭に流行っていたのか、類型の心理テストが女流棋士の間で行われたことがあったようだ。

将棋世界1992年4月号、中井広恵女流名人・王位(当時)の第18期女流プロ名人位戦〔中井広恵女流王位-林葉直子女流名人〕第5局自戦記「大きな出産祝い」より。

 少し前から、巷では心理テストというのが流行っている。これは、ある質問の答え方によって、その人の心理状態を判断するというものである。

 「馬・羊・猿・牛・ライオンの五頭の動物が舟に乗っていたところ、難破してしまいました。あなたはどの動物から順に助けますか?」

 という問題があったので、女流棋士数名でやってみた。

林葉-①牛②羊③猿④馬⑤ライオン

中井-①馬②羊③ライオン④牛⑤猿

 他の女流棋士の答えは、ページの関係で省略させてもらうが、こういう結果がでた。

 さて、この問題は何を意味しているかというと、その人が何を重視しているかがわかるのである。

 その本によると、馬=モラル、羊=仕事、猿=子供、牛=セックス、ライオン=プライド、なのだそうだ。

 そこで二人の答えを比べていただきたい。直子ちゃんは当然の如く、一番に”牛”がくる。対して私は、馬が一番。モラルを一番大事にしている事がよくわかる。

 従って、彼女が文章で私の事をスケベだと書いているようだが、全てフィクション。つまり、ない事ない事書いているというのを証明しておこう。

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森六段バージョンは、

馬=仕事、羊=家庭、猿=お金、牛=食料、トラ=プライド

中井女流名人・王位バージョンは、

馬=モラル、羊=仕事、猿=子供、牛=セックス、ライオン=プライド

決して矛盾するものでもないと思う。

一度やれば二回楽しめるということになる。

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私が30年前に伝授された心理テストも紹介します。

〔設問〕

大きな川をはさんで、恋人同士のA(男性)とB(女性)が向かい合っていた。

Bは向こう岸にいるAの所へ行きたくて行くたくて仕方がない。(例えばこれから駆け落ちをするような、非常に切羽詰まった状況と考えてください)

舟を持っているCがいたのでBは頼んだ。

B「お願いです。私はこれこれこういう事情で、向こう岸にどうしても行きたいんです。舟に乗せてください」

C「お金を払ってくれれば舟に乗せてあげるけど」

しかし、Bはお金を持っていなかった。

それを見ていたDがBに近寄ってきて、

D「ボクと一夜を共にしてくれれば、舟に乗るお金を出してあげるよ」

Bは悩んだが、Aの所へ行きたい気持ちの方が優った。

B「はい、お願いします」

しばらくして、お金を手にしたBはCのもとへ。

無事にBはAのいる向こう岸へ着くことができた。

B「会いたかった」

ところが、対岸での出来事を全て見ていたAは怒り心頭。

「もう、別れよう」と言って去っていってしまった。

悲しみに暮れるB。

すると、一部始終を見ていたEがBの所へやって来て、

E「僕と交際してくれませんか」

EがBを見て一目惚れしたのか同情したのかはわからないが、真剣な申し出だった。

BはEと恋人の関係になった。

   

この5人の登場人物を、気持ちの理解できる順に並べてください。

何をどういう順番で重視しているかがわかります。

A・・・モラル

B・・・愛

C・・・仕事

D・・・セックス

E・・・家庭

です。