「郷田さんってかわいい!」

将棋世界2000年3月号、神吉宏充六段(当時)の「今月の眼 関西」より。

 ところで、札幌東急将棋まつりではオモロイ話がありましてん。タイトルは『ウサギの目になった男』、主役は郷田真隆八段。

 新春の将棋まつり、棋士達が札幌入りしたのが前日の夕方。歓迎の夕食会で講談師の神田紅さんの体験談に基づく恐~い話が出たんですな。引っ張るときは引っ張り、たたみかけるときはトトントントンと、講談調に恐怖の世界に引きずり込むので、話を聞いた者は皆その情景が夢に出てうなされてますねん。

 野月四段は「いやあ、思い出して恐くてなかなか寝れなかったですよ」と嘆く。

 もっとひどかったのが郷田大先生。翌日の朝は目が真っ赤。

「だって神田さん、ホテルが一番怖いって……特に鏡と水のあるところがって聞いたものだから、鏡なんて見れないんですよ。結局電気を全部付けて、テレビもつけっぱなしで目をパチッと開けたまま」

 結局朝まで一睡も出来なかったらしい。

 その翌日はもっと悲惨だった。目が腫れ上がっているのである。

「どないしたんや郷田君、その目!」

「あっ、いやシャワー浴びようと思ったんですけど、シャワーカーテンが何故かドロドロに汚れている部分があったんですよ。血か何かみたいで怖くて、シャンプーしてる時も目が閉じれなくて……」

 そうなんです、郷田先生はシャンプーの液が目に入る痛さも恐怖よりはましだったんですがな。で、ウサギ人間になってしまったんだが、何故か矢内理絵子女流三段や木村さゆり女流二段からは「郷田さんってかわいい!」と評価アップ。う~ん、そうなのか?

——–

目を開けっぱなしにしていたとしても幽霊が出るときには出ると思う。

とはいえ、目を開けた途端に、目の前に今までいなかった何かが突然いたとしたら、その衝撃度は想像を絶するほど大きいものになるだろう。

例えば、

  • 寝苦しいので目を開けると、白いワンピースの女性が恐ろしい形相で自分の顔を覗き込んでいる。叫ぼうにも声が出ず、身体も金縛りにあって動かせない。
  • 髪の毛を洗い終わって目を開けたら、バスルームの鏡に恨めしそうな表情をした髪の長い若い女性が映っている。
  • さっきまでは無かった、大量の長い髪の毛が浴槽に浮かんでいる。

などのようなこと。

郷田真隆八段(当時)が目を閉じることができなかったという気持ちはよくわかる。

——–

ホテルや旅館で、怪現象が起きる部屋には目立たない場所(ホテルであれば、壁に掛けている絵の裏側など)にお札が貼られているという話を聞くことがある。

しかし、これは都市伝説だという説もあり、真偽の程は分からない。

——–

24年前、ホテルではないが、六本木のファッショナブルなビルの中にあった酒場に正々堂々とお札が貼られているのを見たことがある。

比較的広い店内の入口近くに1枚、店の奥に1枚、の合計2枚。

店の人に聞いてみると、深夜、男性の幽霊が出るらしく、後片付けなどで仕事が終わるのが遅くなった複数の男性従業員が目撃しているということだった。

その幽霊は、店の奥の方から現れて入り口へ向かっていくということで、出現し始める場所に1枚、姿を消す場所に1枚、それぞれお札を貼っているとも話してくれた。

ポラロイドカメラで撮った店内の写真(お客さんとお店の女性が写っている)も何枚か見せてもらったが、その中の複数枚に、白いもやのようなものや赤い光が写っていた。

テレビで見るこのような写真は写っている人の目に線が入っているが、その写真は当然の事ながら目に線は入ってなくて、とてもリアルに感じた記憶がある。

——–

講談師の神田紅さんは霊感が強く、様々な霊体験をしているという。

神田紅さんの霊体験→「松山鏡」(桂平治の噺の穴 第六十一回)

——–

この2年前の札幌東急将棋まつりにも、郷田真隆六段(当時)と神田紅さんが出演している。この時は、また違った趣き。

古き良き時代の豪華な話