木村一基五段(当時)「本当に見ていて嫌になりますよ」

将棋世界2000年1月号、河口俊彦六段(当時)の「新・対局日誌」より。

 屋敷七段対木村五段戦も好取組。しばらく見ていたが、当然のごとく動かない。で、老人席に移って一服つけていると、真田六段がとなりに坐った。私が「屋敷君も変わっているね。棋士総会のときは、ツルツル坊主だったのに今は茶髪だ。よく伸びるもんだね」と、くだらぬ話をしていると、木村君が通りかかり「本当に見ていて嫌になりますよ。失ったら元に戻らぬ人もいるのにね」と苦笑し、頭に手をやって対局室に戻って行った。

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この日は順位戦(C級1組)の日。

このようなことがあったからかどうか、この対局では木村一基五段(当時)が屋敷伸之七段(当時)に敗れている。

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茶髪の屋敷七段。

屋敷七段が坊主頭から茶髪にした最も大きな理由は、その後奥様となる順子さんと出会ったからだと考えられる。

屋敷七段はこの期の順位戦で出だし3連敗だったが、その後7連勝している。

奥様と知り合ったのが夏頃なので、それ以来、順位戦で連勝街道を続けたことになる。

河口俊彦六段(当時)「屋敷君は頭をツルツルに剃って現れた」