将棋関連書籍amazonベストセラーTOP30(2018年7月28日)

amazonでの将棋関連書籍ベストセラーTOP30。

 

新・石田流誕生秘話

将棋世界2005年6月号、鈴木大介八段(当時)の「新・石田流について」より。

 今回「新・石田流」で”升田幸三賞”を受賞させて頂いた。そこで2回に亘りこの原題によみがえった石田流を紹介していきたいと思う。

新・石田流誕生秘話

 …1図の局面も崩されようとしていた。森下九段、島八段以下数名による序盤限定・研究会の一コマである。

「▲4八玉以下は升田式石田流の定跡ですが、一応▲7四歩はないですか?」。会の進行役とも言える島八段、「いやいや(これは口グセ)私も昔に考えましたが、以下△同歩▲同飛△8八角成▲同銀△6五角で居飛車良しが定跡であり、それが多分正しいでしょう」と御意見番。森下九段はいつでも答えが明快である。一同納得の様子。「ではさすがに手がないですか?鈴木君」。困ったものである。ないに決まっているが、ないと言っては話にならない。そもそも研究には厳しい両巨頭である。意見がないのでは次の研究会で自分の名前がなくなっている、なんて事になりかねない。目を皿のようにして探すこと数十秒。まるで昔から考えていたように、全くの思いつきの角を盤上に置いてみた(2図)。

 悪い手だったか!内心ドキドキの数分後、皆の顔色が変わった。新・石田流の誕生である。

升田式を超える手

 前置きが長くなってしまったが、1図で▲7四歩が成立するのが、今回の新手である。以前は▲4八玉で以下A図のように組むのが”升田式石田流”で常識だったが、石田流側も決定的な攻めがなく、互角の域を出なかった。

 今回の手が成立すれば1図の局面自体が無くなり、升田式に組むまでもなくなってしまう。ある意味”升田式石田流を超える手”と考えられる訳である。

 ▲7四歩以下2図までは必然であり、これを基本図として現在の最新研究と共に解説したい。

新しい決め手

2図以下の指し手
△7四角▲同角△5二玉▲5五角△4四歩▲5六角△4三玉(3図)

 まずは△7四角と飛車を取る変化から。これが一番ありがたい。角を取り返してすぐに▲5五角と打ち、飛車取りもそうだが次の▲1一角成がそれ以上に受けづらい。これに対し△1二飛と打つ訳にもいかないので△5二玉~△4四歩が粘りある手。▲4四同角は△8四飛でシビレてしまう。こんな手に騙される人は少なく(私はその少ない人…涙)、▲5六角と揺さぶるのが好手。△4三玉に▲8二角成△同銀▲9六歩で次の端攻めも有力だが最近もっと良い決め手が発見された。

3図以下の指し手
▲7二歩!△同金▲6五角△5四歩▲8二角成△同銀▲5四角!△同玉▲7四飛△4三玉▲7二飛成(4図)

 ▲7二歩が最新の決め手。以下4図までの変化の余地がなく先手勝勢。2図から△7四角はハッキリ無理である。

プロも飛車が好き

2図以下の指し手
△5六同角▲同歩△7三歩▲7八飛△5七角▲5五角(5図)

 次は2図より△5六同角の変化。▲5六同歩に△2二銀には▲4八玉以下▲6八金~3八玉と進めれば先手充分。将来▲4六角や▲7五飛~▲7七桂~▲8五飛等、手に困らない。

 本譜の△7三歩~△5七角は嫌味な手で、▲7七銀△8四角成は難しい将棋。それより▲5五角がスッキリして分かりやすいと思う。

5図以下の指し手
△2二銀▲7四歩△同歩▲8二角成△同銀▲7四飛△7三銀▲7八飛△8四角成▲4八金(6図)

 馬は作られるものの2枚飛車を持つ6図に進めるのが良いだろう。まだ先は長いが、次に▲4九玉~▲3八玉~7七銀と進めると先手がかなり勝ちやすい。プロでもアマでもやはり飛車が好きなのだ。

(以下略)

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このような極限状態(?)から生まれた新手というのも珍しい。

ある意味では、将棋の研究会らしい研究会のアプローチとも言えるだろう。

それにしても、即興でこのような新手を編み出す鈴木大介九段も凄い。

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この新手が生まれた時のこと、その後のことは、前年に山岸浩史さんの「盤上のトリビア」に書かれている。

森下卓九段「将棋を覚えて28年、こんなに驚いたことはありません」

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私も石田流本組み、升田式石田流は大好きだけれども、1図からの▲7四歩は指したことがない。

2図から後の展開を知らなかったからだが、今日の記事を書いたので覚えることができた。今度、勇気を出して試してみたい。

 

「あんた、相手が羽生だったら投げたでしょう」

将棋世界2005年5月号、河口俊彦七段の「新・対局日誌」より。

 前号でちょっとふれた、B級1組の島八段対阿部七段戦は稀に見る大熱戦だった。途中から阿部必勝となったが、終盤に粘られて島逆転勝ちで終わった。

 長い秒読みの戦いの後、敗れた阿部七段はカッとなったか「あんた、相手が羽生だったら投げたでしょう」と叫んだ。すると島八段は「そんなことはない。でもあんたの顔を見ていると、投げられなくなってしまって…」と言ったとか。

(以下略)

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これは、「相手が羽生であってもなくても普通なら投げている。でもあんたの顔を見ていると、投げられなくなってしまって」と読み取れる。

もっと簡略化すれば、「あなただから投げなかった」と解釈できてしまう。

文字面だけを見ると、かえって火に油を注ぐような言葉に思えるが、実際の会話ではソフトな口調や表情なども加味されるので、雰囲気は異なっていたのだろう。

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阿部隆八段は10年ほど前からおとなしい感想戦を心掛けているという話だが、阿部隆八段の感想戦は勝っても負けても面白い。

仏の感想戦・鬼の感想戦

 

羽生善治竜王が大山康晴十五世名人の通算勝ち星を抜く日

将棋世界2005年6月号、真部一男八段(当時)の「将棋論考」より。

 羽生四冠が森内名人に挑戦している第63期名人戦第1局を制し、通算900勝を達成した。

 34歳6ヵ月はもちろん最年少、19年3ヵ月での到達も史上最速記録である。

 通算勝ち星も、大山康晴1433勝、中原誠1279勝、加藤一二三1238勝、米長邦雄1103勝、谷川浩司1080勝、内藤國雄1064勝、有吉道夫1040勝に次いで史上第8位となった。

 8位とはいっても羽生の年間勝ち星平均は47勝強であるから、仮にこのペースが持続すれば、2年少々で1000勝に到達し5年目には米長の記録を上回る計算だ。

 だが、いくら羽生が将棋のモンスターでも、このハイペースが限りなく続くことはあり得ないから、6年目からは40勝平均になるとしよう。すると大山の記録に追いつくのは羽生47歳ということになるが、果たしてどうだろう。

 現実には40歳を過ぎると疲労が蓄積されるようになるから、もう少し年数はかかるだろうが、大山の通算勝ち星を凌駕するのは間違いなさそうである。

(以下略)

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玲瓏 羽生善治 (棋士)データベース」のデータによると、羽生善治竜王の通算勝ち星記録は次の通り。真部一男八段(当時)の予想とも比較してみた。

1000勝→2007年12月20日(真部八段:2年少々=2007年中)
1104勝→2010年6月26日(真部八段:5年目=2009年度中)

1000勝の時期は真部八段の予想通りで、1104勝(米長邦雄永世棋聖を上回る)は真部八段の予想の約3ヵ月遅れだが、これは誤差の範囲と見て良いだろう。

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大山康晴十五世名人の1433勝を超える1434勝について考えてみたい。

現在の羽生竜王の通算勝数は1405勝(2018年7月23日対局分まで、未放映のテレビ対局を除く)。

あと29勝ということになる。

羽生竜王の今期の勝数は7。

ここ3年間の羽生竜王の勝数は、

2017年度:32(勝率0.593)
2016年度:27(勝率0.551)
2015年度:30(勝率0.638)

3年間の年度あたりの平均勝ち星を30勝とすると、今期はあと23勝。

計算すると、羽生竜王の通算勝数が1434勝になるのは2019年の6月頃ということになる。

しかし、羽生竜王が竜王戦、順位戦以外の棋戦で昨年度以上のハイペースで勝ち続ければ、今年度中に1434勝達成も十分に考えられる。

羽生竜王は今年の9月27日で48歳になるが、どちらにしても、羽生竜王が48歳の時に1434勝達成ということになるだろう。

そういう意味でも、真部八段の「大山の記録に追いつくのは羽生47歳ということになるが、果たしてどうだろう。現実には40歳を過ぎると疲労が蓄積されるようになるから、もう少し年数はかかるだろうが」の予想がほとんど当たっていることに驚かされる。

 

第30回将棋ペンクラブ大賞贈呈式のご案内

第30回将棋ペンクラブ大賞贈呈式が、以下の日程で開催されます。

○日時:2018年9月14日(金)
18:00 開場  18:30 開演
(終了予定 20:30頃)

○場所:レストラン アラスカ パレスサイド店
東京都千代田区一ツ橋1-1-1 パレスサイドビル9F
(東京メトロ東西線 竹橋駅 徒歩1分)

○会費:男性8,000円 女性6,000円

将棋ファンの皆様のご参加をお待ちしています。

※将棋ペンクラブ会員ではない方の参加も大歓迎です。
※参加申し込みや予約は不要です。
パーティのとき渡部愛女流王位による指導対局コーナー、バトルロイヤル風間さんによる似顔絵コーナーが設けられます。
※色紙や本などが当たる抽選会もあります。

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受賞者(敬称略)

〔観戦記部門〕

大賞

大川慎太郎

第30期竜王戦決勝トーナメント1回戦 藤井聡太-増田康宏(読売新聞)

〔文芸部門〕

大賞

杉本昌隆

『弟子・藤井聡太の学び方』(PHP研究所)

弟子・藤井聡太の学び方

優秀賞

柚月裕子

『盤上の向日葵』(中央公論新社)

盤上の向日葵

〔技術部門〕

大賞

藤井猛

『四間飛車上達法』(浅川書房)

四間飛車上達法 (最強将棋レクチャーブックス)

優秀賞

永瀬拓矢

『全戦型対応版 永瀬流負けない将棋』(マイナビ出版)

全戦型対応版 永瀬流負けない将棋 (マイナビ将棋BOOKS)

〔特別賞〕

山本一成 『人工知能はどのようにして「名人」を超えたのか?』(ダイヤモンド社)

人工知能はどのようにして 「名人」を超えたのか?―――最強の将棋AIポナンザの開発者が教える機械学習・深層学習・強化学習の本質