湯川博士さんの著書に「新版 奇襲大全」という伝説の奇書がある。
この本は絶版になっているが、一発芸のハメ手の奇襲ではなく、地に足の着いた本格的な奇襲戦法ばかりが取り上げられている。
これらの奇襲戦法は、全国各地のアマチュア強豪が開発したもので、奇想天外なものから理論的なものまで、さまざま。
タイトルを見ただけで、頭がクラクラしてくる。
[平成の奇襲]
居飛穴音無しの構え
振飛車からの急戦を封じ、角道を開けずに居飛穴に潜る。
開発者は、この戦法で全国優勝の経験のあるアマ強豪に勝っている。
偽装居飛穴急戦
居飛穴を偽装して敵を持久戦用の駒組みに誘い込み、突如急戦のキバをむく。
開発者は、大学将棋部OBの強豪。
ゴーゴー左美濃
藤井システムにより駆逐された左美濃。慣れ親しんだ左美濃とサヨナラしたくない人のための、対藤井システム用左美濃戦法。
開発者は、レーティング選手権山陰ブロック決勝でこの戦法を用い優勝。
[昭和の奇襲]
対振飛車金開き戦法
筋の悪い出だしで相手にヘボと思わせ、その間に美濃囲いへの端攻め体制を築きあげる。
角交換四間飛車
一手損角換わりと立石流を融合させたような戦法。
開発者は、この戦法でアマ名人戦ベスト8に勝ち進んだ。
桂跳怖迫四間飛車
けいちょうふはくと読む。角頭歩戦法の出だしから自ら角交換。敵に邪魔されずに角頭歩戦法本来の狙いを実現する。
朝日アマ名人戦準優勝のアマ強豪が考案。
急戦端角中飛車
飛車と角だけで相手を困らせる、初中級者向けの奇襲。
県代表2回の教師が開発者。子供将棋教室用に編み出された。
角換わり四間穴熊
一手損角換わり急戦四間飛車プラス穴熊。
開発者は、この戦法一本で学生タイトルを獲得した。
一間飛車振り穴
強引に敵を自分の土俵に引っ張り上げて、相手が落とし穴にはまるのを待つ。
大学将棋部の学生が開発。
一間飛車イビ穴
一間飛車振り穴の出だしからイビ穴に囲う。
たまたま偶然、一間飛車振り穴と同時期に別の大学の学生が開発。
右米長玉戦法
イビ穴に対して、美濃囲いプラス米長玉で固め、攻撃形は石田流。
開発者は1985年度グランドチャンピオン戦で次々とイビ穴を撃沈した。
筋違い角四間飛車
相手に飛車を振らせずに、自分だけ振りたい人向きの戦法。
アマ古豪が開発。現在でもずいぶん見かける戦法だ。
攻める居飛車風車
「風車に角交換はするな」という教えがあるが、「ならば、先に角交換して、後から風車にすればいいじゃないか」という発想から生まれた戦法。
開発者は企業系アマ強豪。
[永遠の奇襲]
鬼殺し
鬼殺しの基本と、新・鬼殺し。
鬼殺しは、大道棋の売り物のテキストで解説されている戦法だった。
ヒラメ
香落ち上手の戦法だった。攻撃型本格中飛車。
アヒル
やられると意外と困るのがこの戦法。
ハメ手三連発
△4四歩パックマン戦法
奇襲大全 価格:¥ 1,260(税込) 発売日:1999-03 |