久保利明七段(当時)の攻めを呼び込む勝負手

将棋世界2001年12月号の、アサヒスーパードライの広告「キレ味。この一手。 第15回 久保利明七段」より。

攻めを呼び込む

 第49期王座戦で丸山忠久名人と挑戦権を懸けて対戦した。丸山名人が流行の三浦囲いの構えから、△4四金と出て私の囲いにプレッシャーを掛けてきたのが図の局面。

 ここで▲3七銀と引いて当たりを避けても△3五歩と突かれるし、▲5八銀と守りに徹しても△4五金ととぶつけられ、以下△4二飛と回られる手もあって後手の攻めを受け切るのは容易でない。図から私は▲6五歩と突いた。以下△同桂▲6六銀△4五金▲3七銀△4六歩▲4八金引。▲6五歩が後手の攻めを呼び込んで勝負しようという決断の一手。△同桂に▲6六銀と桂取りに出て後手の攻めを催促した。非常に怖いところだが、▲6五歩以外の手では一方的に押さえ込まれてしまっていたと思う。この勝負手が功を奏し、羽生王座への挑戦権を獲得できた一局だった。

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図から▲6五歩は、勝負手とはいえ、怖くてなかなか指せない手。

ピッタリと当てはまる言葉ではないかもしれないが、「攻撃は最大の防御」となる局面なのだろう。

それにしても怖い。

相当な腕力がなければ指せない手だと思う。