3月17日に行われた竜王戦(対 泉正樹七段)で大内延介九段が敗れ、引退対局(竜王戦残留決定戦)を一局残すのみとなった。
大内延介九段は、第1期の棋王であり、1975年の名人戦では中原誠名人に対して、名人獲得直前にまで迫っている。振飛車穴熊の元祖だった。
運営面では、日本将棋連盟の専務理事を長く務め、1999年から開始された国際将棋フォーラムの立ち上げなど、渉外や普及などで活躍をしてきた。
また、大内一門会には後援者も多く、師弟の繋がりが深い。
(大内一門は飯田弘之六段、塚田泰明九段、富岡英作八段、鈴木大介八段、田村康介六段、藤森奈津子女流三段)
10年以上前になるが、私は何度か大内延介九段にお会いする機会があった。
大内延介九段は気風のいい江戸っ子そのもので、魅力的な人柄だ。
東公平さんの「名人は幻を見た」にも、大内九段について次のように書かれている。
「ある時、町を歩いていたら「ここでちょっと休憩しましょう」と言う。それが喫茶店ではなくて銭湯で、乳飲料を飲みながら裸の雑談をした。気っぷのいい江戸っ子だ」
今後もさまざまな方面での活躍を続けてほしいと思う。
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大内九段には名著も多い。
「将棋の来た道」では、タイ、中国、韓国、インド・スリランカを実際に訪ねて、日本将棋のルーツを探る。
将棋の来た道が、インド→インドシナ半島→中国江南の港町→日本であるという大内説には非常に説得力がある。(タイの将棋が日本の将棋に一番近い)
将棋の来た道 (小学館文庫) 価格:¥ 540(税込) 発売日:1998-11 |
私が読んだのは旧版だが、「将棋・端攻め全集」は、初段になった後、もっと強くなりたいと思った時に読んで、最も実力向上に役立った本。
初段の方なら、最低でも香車一枚は強くなれると思う。
将棋・端攻め全集―破壊力抜群の必勝手筋 (PERFECT SERIES) |
大内延介の将棋講座「端攻めのすべて」全26回(将棋四週間DVD)囲碁・将棋チャンネル DVD2枚組 (4WeekDVD) 価格:¥ 1,050(税込) 発売日:2009-12-01 |
向かい飛車では、この本にもお世話になった。
必勝 向かい飛車―豪快!攻める怒濤流 (Super series) 価格:¥ 1,020(税込) 発売日:1996-08 |
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大内九段お薦めの寿司店は、築地市場場内にある「大和」。
数十年前の築地市場将棋部の取りまとめ役が「大和」の主人で、師範が土居市太郎名誉名人だった。土居門下の大内延介少年も稽古でよく通ったという。
行列ができるほどの店であり、店内には「名人の上 升田幸三」という大きな置き駒が飾られている。