将棋世界2005年1月号、第35回新人王戦決勝三番勝負〔佐藤紳哉五段-山崎隆之五段〕第3局「『西の山崎』といわれたい」より。自戦解説は山崎隆之六段(当時)。
新人王戦二度目の決勝戦。今回の相手は佐藤紳哉五段でした。
佐藤五段はぼくより4つ年上ですが、奨励会時代に三段になった時期が同じなんです。
そのころからこれまで、ずっと勝てませんでした。勝ったことがない相手と指すのは気分的に嫌なものですが、幸いこの三番勝負が始まる前に一局勝つことができたので、「これで五分で戦えるぞ」と気合を入れて勝負に臨むことができました。
第1局は負けてしまいましたが、たとえ優勝できなくても、二局で終わるのだけは嫌でした。
ぼくは、三番勝負なら三番、五番勝負なら五番、一局でも多く指したいんです。七番勝負?それはできれば4-2ぐらいでいいと思うけど(笑)。
だから、大阪での第2局に勝って第3局を指すことができたのは嬉しかったですね。
(中略)
今回の三番勝負を振り返ってみると、本局が一番うまく指せたかなと思っています。前の2局があまりにもあっさり悪くしてしまったこともありますが(笑)。
形勢はずっと悪いと思っていたのですが、結果としては難しかったみたいで、相手側にはっきりよくする順が見当たらなかったのが幸運でした。
新人王戦での優勝は、これが二度目になります。前回は初めての決勝戦で気持ちに余裕がありませんでしたが、今回の三番勝負は楽しむことができました。
これからの抱負ですか?あまり大きなことをいう自信はないんですけど、自分のことを期待してくださっている方もいると勝手に思っているので(笑)。
やっぱり渡辺明君のことは意識します。彼はぼくとはタイプが違うし、自分にはないものをたくさん持っていて凄いなと思う面が多いです。努力家だし…。
ただ、彼は年下ですから、取り残されたくないなっていう寂しさはあります。
「そんなに置いて行かないでよ。遠くに行かないでよ」みたいな(笑)。
待っていろよというほどの勇ましさはありませんが、なんとか戦える位置にはいたいなと思います。
よく若手のホープといって比べられることも多いんですが、それはたまたまぼくが関西にいるので比較対象になりやすいだけで、実績は天と地ですからね。実際には渡辺君一人が引っ張って行っているという感じです。
だからぼくも見習ってタイトルに挑戦し、「東の渡辺、西の山崎」と言われるようになりたいです。
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「ぼくは、三番勝負なら三番、五番勝負なら五番、一局でも多く指したいんです。七番勝負?それはできれば4-2ぐらいでいいと思うけど(笑)」が、とても山崎隆之八段らしいユーモア。
この時、山崎隆之六段(当時)は新人王戦で二度目の優勝。
対して、渡辺明六段(当時)は、前年の王座戦でタイトル初挑戦し、この時は竜王戦で挑戦者となって七番勝負を戦っている最中のこと。
棋戦優勝などの実績では山崎六段の方が上で、順位戦も同じクラス。
それでも山崎六段は渡辺六段に対してこのように思っていたわけで、山崎六段の闘志が静かな形で表れていると言っても良いだろう。
この1年前のことも、この自戦解説に繋がっている。
→打ち上げの席で山崎隆之五段(当時)が渡辺明五段(当時)に話したこと
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4月9日~10日に、第1期電王戦 二番勝負第1局 山崎隆之叡王- PONANZA戦が行われる。
この告知ムービーがとても素晴らしい。
山崎隆之叡王、森信雄七段、村山聖九段、『聖の青春』の松山ケンイチさんがシンクロする出だしなどは、涙が自然に流れてくるほど。
レッド・ツェッペリンの「Stairway to Heaven」が非常に効果的に使われている。